27日の時点だったか、テレビで中年の男性が香田さんについて「(サマワは)危険だという自覚はなさそうだった」コメントをしたのをテレビで観た。知り合いにしては随分冷たいことを言う、と思った。たぶんあれはアンマンのホテルで会ったという映画監督・四ノ宮浩さんなのだろう。親しかったら、あのコメントはできない。何が起こるかは容易に想像がつくというもの。
案の定、家族のもとに中傷の電話が相次いだ。
ホテルの従業員は香田さんが、何が起きているのかこの目で見たい、多くの人々が死んでいる、と言ったと述べている。
自己責任という言葉の陰で、国の責任と戦争を放棄したはずの国が戦争に加担しているという問題がうやむやにされていく。わたしはそのことがとても気がかりだ。億単位の不正には「またか」という反応をし、世の中の現実を見たいと旅した青年を「迷惑な。助けるために税金を使うのはおかしい」と罵る。バランスのおかしい国民だ。
「イラク・アルカイダ機構」(旧タウヒード・ワ・ジハード団)はすでに米国人、韓国人、ブルガリア人、トルコ人、エジプト人、英国人を殺害しており、4月の高遠さんらを捕らえたグループとはわけがちがう、過激派組織だ。いわゆる原理主義。人がより良く生きるために宗教があるのではなく、イスラームのために人がある、と即答できる人々。卵が先か鶏が先かで悩むことは一切ない人たちなのだから、交渉そのものすら可能なのかどうか。なんて思っていたら、どうも事態は最悪の流れに。

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