THE少女漫画夜話で、竹宮惠子の『風と木の詩』が取り上げられた。この作品は単にやおいのはしりだ、というだけではない。
この作品を高く評価しているという、臨床心理学者で文化庁長官の河合隼雄さんが登場。少年の内界を描いた作品はヘッセなどが描いたが、少女の内界は文学では表現できないだろうと思われていたのにそれが描かれていてすごいと思った、という風に感動を述べておられた。
よく言ってくれたよ〜。こういうモノが分かっている人が文化庁の長官だなんて嬉しいね。
番組の終わりで、竹宮さんはこう言っておられた。
「言葉では言えない何かを伝えるためなんですね。絵でも言葉でも伝えきれない何かを伝えるために漫画を選んでいるっていうことなんですけれども。漫画でなかったら表現できなかったと思うので、そういう意味で漫画を書いていて良かったと思います」
(録画から起こした。漢字をあてたのは皆吉)
そう、それこそが漫画の醍醐味! 漫画はそういうメディアなんだよ。裏を返せば漫画でなければ表現できないなにかを有した作品こそが素晴らしい作品であるとも言える。
最近は小説の映画化や漫画のアニメ化にとどまらず、漫画のドラマ化、アニメの小説化、ゲーム化などなど、「ヒットしたら別のメディアでもう一儲け」みたいな風潮がある。別メディアでリメイクされること自体は一概に悪いことではない。が、受け手の側が、「それは原作の漫画(あるいは小説)を読まなきゃ本質は理解できないだろ!」と思うような作品ですら、
「ドラマを見たからいい」
「漫画を見たからいい」
といった風に受け止めていて、貪欲さがまったく見あたらず、とても残念である。
ゲドを読み返しながら、ジブリのアニメだけを観て「こういう作品か」と判断しないで欲しいなあ、と切に思うのである。ああ、アニメ化、胃が痛い。

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