太田光・中沢新一『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)を読んだ。
護憲の本かと思いきや、割と柔軟な視点で面白かった。
九条は、確かに矛盾をはらんでいる。
「不戦」ではなく「非戦」というのは、国家防衛としては理想論過ぎる。
軍隊は持ちます、自衛権も持ちます、でも平和時にはやりませんよ、というのが普通の国の憲法だ。絶対に戦いません、という日本国憲法は、国家としては矛盾している。
そこをちゃんと認めているところが、ウソっぽく無くていい。
理想論だから精神的よりどころになるのだと、わたしも思う。
最近は善か悪かと、すぐに二者択一に走る風潮があるけれど、世の中そんなに単純じゃあない。
矛盾があっていいんだな、とホッした。
自分の信じているものを疑ってみる心構えが必要なのだ。
宮沢賢治が田中智学に傾倒していたことは、恥ずかしながら知らなかった。
その意味でも勉強になった。

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