ヘミングウェイやフィッツジェラルドとかじゃないほう。朝日新聞が新年からしばらくやっていた一面の特集記事のほうの、ロストジェネレーションの話。
あきさんが
日記に書いているのを見て、「わたしも今度会ったらこの話をしようと思っていたのよ」と膝を打った。
朝日新聞の言うロストジェネレーションとは、
90年代の就職難の時期に、正社員になれないまま、不安定な生き方を余儀なくされた若者たちを指す。(朝日新聞記
「好況、置き去りの世代 「偽装請負」担う20〜30代半ば」より)
請負労働者の時給は1000円程度。昇給やボーナスは基本的になく、年収は200万円程度だ。(同上より)
うん。我々の世代では、決して特殊な状況ではないね。
正社員でも、250万円以下の人は結構いるんじゃなかろうか。
わたしもその口だった。田舎で事務職をやろうと思ったら、高望みはできない。優秀ならなんとかなる、なんてことは絶対にない。事務の仕事なんか全然募集がなかった。あるのはどれもこれも営業。販売員は、バイト募集ばかり。
90年代のわたしは、子どもで、浅はかで、なによりも田舎者だった。中学生のときにバブルがはじけたんだけど、「でも、あたしたちが社会に出る頃には景気も回復しているよね」と朴訥にせっせと勉強していた。
結果、ちーっとも就職には役に立たなかった。4年制大学ストレートの場合、わたし達の学年とその次の学年がなべ底だったと思う。
勉強は好きだったし、知識や人脈が役に立っていると思わないでもないので、「真面目に勉強して損した」とまでは思わないけれど、なんだかやりきれない思いも、抱えている。
(『はるか17』の連載が始まったときには、ヒロインに感情移入してしまったものだ)
わたしなんかは、結局、お金以外のものに人生の価値を見出す形で生き方に折り合いをつけてしまったわけだけれど、やっぱり不満はある。そういう意味で、ロストジェネレーションの特集には、思うところがあり、好意的に読んだ。
ただし、バッシングも来るだろうなと予想している。
「ロストジェネレーションってのも甘えてるよな、自助努力が足りないんだよ」とかいうヤツがきっと出てくるだろうと思うと、憂鬱だ。
すぐに、自助努力が足りないとか個人の能力不足だとかいう結論に達する風潮があるじゃない?
そういう簡単な問題じゃないでしょ。
実際のところ、月収30万円の人は月収15万円の人の2倍の能力がある、と断言できるのかなあ。
それに、「君みたいに、30代以上の独身女性を負け犬って言うんだってね」「親元に暮らしている独身者をパラサイトシングルと呼ぶんだってさ」などと、間違った用法が広まったように、曲解されてひとくくりにされても、困るな。
このラベリングは、社会問題として捉えるきっかけにして欲しい。

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