石田淳『すごい「実行力」』を読んだ。
三笠書房の知的生きかた文庫だ。すぐに読めるけど、まあ、500円台だし。
「とにかく最初の10ページを読んでください!」というオビの煽り文句は、ベタだけどナイス。
have to行動ではなくwant to行動に移すことが大事らしい。
言い換えれば、自分を乗せる。
そのためには、動機付け条件を作れというのである。
人は、ニード(必要性)とメリット(利点)を得るために行動する。
だから、何らかのニードを達成するためにある「行動」をした後に、意図的にメリットを作るとよい、というような話だった。
平たく言えば、好きなことや好きなものを「ごほうび」に設定せよ、ということか。
行動科学では、
増やしたい行動を不足行動といい、辞めたい行動を過剰行動という。
不足行動を邪魔している行動を、ライバル行動という。誘惑、といったところか。
増やしたい、あるいは減らしたい「ターゲット行動」と、それを邪魔する「ライバル行動」の2つをコントロールすると、実行力が上がる。
系統的脱感作という考えも面白かった。
段階を踏んで少しずつ刺激に慣れさせるという、苦手克服のための行動療法だ。人前で話すのが苦手な部下には、まずプレゼンに同行させることから始めて、傍で補助係をさせたり、終わりのあいさつをしたりと、ステップアップさせる。
泳ぎの初心者には、まず水に顔をつけるところから、みたいなものか。
行動とごほうびの間には直接の因果関係は必要ないそうだ。
意図的につくった因果関係でも、喜びの強化には役立つとのこと。
わたしは、用事がない日は早く起きられないので、早起きスタンプカードを作ってみた。
目標時刻前に起きられたら2ポイント、目標時刻に起きられたら1ポイント。
一定の数が貯まったら、新古書店でセット本を買うことにした。
あとは、コーヒーや紅茶を飲みたいと思ったら、すぐに淹れて飲むののではなくて、すぐにクリアできる作業を間に挟むことにした。
一時フォルダに積み上がっている資料をファイルするとか、掃除機をかけるとか。
市民活動をしていると、こまごました「やらなければならないこと」が積み上がってくる。そのうえ、やったからといって儲かるものでもない。自宅が作業場という環境も邪魔や誘惑が多い。必ずしもテキパキとは片付けられないので、行動科学マネジメントを取り入れて気持ちよく雑用を片付けていきたいものだ。

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