森岡正博『感じない男』(ちくま新書)を読んだ。
男のセクシュアリティについての研究としては、実に斬新で面白い。「男は」と一般化してしまうのではなく、「私」を主語にして語ることにより、多くの読者に受け入れやすい内容になっていると思う。それでも、男性にとっては面白くない(読みたくない)部分も多いかもしれない。もし、お読みになった男性がいらっしゃるならば、コメント・トラックバックを歓迎します。
森岡氏はこの本の中で自分のことを多く語っている。極端な仮説が沢山提唱されていて、いくつか「それだけでは説明できないんじゃないの?」と思った所もあった。しかし、それでもなお、第4章「ロリコン男の心理に分け入る」などは、果敢な試みだと評価できるし、多くの人に読んでもらいたいと感じた。
今日の日本の「ロリコン大国ぶり」は看過できない。ロリコンを「異常者」とくくって、見てみぬフリをして済む段階ではないと思う。
まだまだマスコミ(情報を流す側)には男性の割合が高いし、少なくともマスコミ業界は「男性の論理」で動いている、といっても過言ではないはず。男性の「思い込み」を増長させるような情報には敏感にならないとなあ、と思った。
女性は男性よりもずっと性的に感じやすい? 男性と違って何度でもオーガズムに達することができる? 本当にそうなの?
んなわけないでしょ。そういう人もいるのかも知れないけどさ、それが「一般的」なわけじゃないよね。
確かに漫画を読んでいても、奇妙なシーンが沢山ある。レイプまがいの強引な行為なのに男は「本当は感じているんだろう?」などといった陳腐な言葉を投げつけ、女はいつのまにか”すっかり感じて”自分から求める、などというような大変都合の良い
男のロマンが蔓延している。
そんなものばかり目にしていたら、感じにくい自分はおかしいのではないか、という気持ちになる人がいても仕方ない。
自分はその気ではなかったのに、相手の技巧によってすっかり「感じてしまう」なんて、少なくともわたしの人生にはありませんでしたよ(爆)。セックスを楽しむためには、その日の気分とか体調とか、相手のことが好きかどうかのほうが、ずっと大事なファクターとなる(と、思う)。
男も女も、情報によって作られたイメージに縛られている。今回、それをはっきりと意識した。

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