毎年引き続いて行われてきた「もんじゅを廃炉に!全国集会」が白木の浜で行われました。主催者発表では850人ということでしたが、昨年よりは少ないかなというのが実感です。それでも、プラザ万象の大ホールが満杯になったのですから、800人は間違いなく来ていたでしょう。
もんじゅが事故を起こして早11年になります。事故の衝撃と、事故隠しによって、動燃という国をバックにした組織が無くなってしまいました。姑息な手段ですが、名前を変えることで組織の保存を計ったのでした。10年を区切りに、今年あたりから再び強硬な推進論調が出始めました。要警戒ですね。
軽水炉より遙かに厳しい物理的条件で作動するもんじゅですが、技術レベルはむしろ軽水炉の方がましでしょう。その軽水炉で、高温高圧下の蒸気漏れを止めることが出来ないのです。軽水炉の倍近い温度で、冷却材に高温のナトリウムを使うのですから、危険きわまりないシステムです。
こんなもの、普通の思考を持った人なら絶対に動かさないと思うのですが、それがそうならないのですね。もんじゅの蒸気発生器はまっすぐな配管を曲げて、何カ所も溶接します。もんじゅの蒸気発生器は、溶接されたスパイラル状の配管がたくさん束ねられて、なおかつ、蒸発器と過熱器という2種類の熱交換機で構成されています。複雑な構造の蒸気発生器は、2種類の熱交換機を水がくぐる時に、振動する危険も備えています。
軽水炉の蒸気発生器細管は溶接接続が無く、曲げは1カ所だけです。それでも、美浜2号機で15年ほど前にギロチン破断を起こしてしまいました。軽水炉の破断では、水の中へ水が飛び込むのですが、もんじゅの場合は、高温のナトリウムの中へ高温高圧の水が飛び込むのです。想像しただけで、恐怖感が走ります。
溶接部は最も損傷が起きやすい箇所です。溶接部に鋭利な亀裂が入った場合、現状の検査技術では見つけられないということです。
もんじゅは、「高速増殖炉」という燃える以上の燃料を生み出すと言われた夢の原子炉から、実質上撤退しています。本音は、半減期の長い放射性核種を短くするための試験炉として活用したいようなのですが、その本音は隠されています。あくまで「高速増殖炉」という超危険な運転を建前としてとっています。このような政治的ありようについても、私は危険だと考えています。
政治から遠ざかろうとすればするほど、政治は横暴に振る舞います。多くの方に、もんじゅの危険に気が付いて欲しいですね。情報を公開し、民主的な手段で議論を重ね、常識で納得できる結果を導けるような形を私たちは必要としています。

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