部屋の中でパソコンと向かい合っているのがあまりにももったいないと思える好天でした。石地さんは外で火を燃やしています。以前に処分を依頼された木の枝を細かく切りながら、煙をもうもうと上げています。思わず、火の方へ引きずられるように近づきました。この季節、火は良いですね。
山村で育った私は、火を焚くことが大好きです。火を燃やすこつも知っています。親父やお袋が山仕事で休憩を取るたびに、たき火をしていました。子供ながら、その楽しそうな雰囲気に魅了されました。側にある小枝を火の中にくべる時、お袋からいつも教えられることがあります。「火を焚く時は、木の枝を同じ方向に並べるんや」と言うことです。同じ方向に並べると枝が密になり、燃えやすくなるのです。経験のない人は、たいがいは交互に枝を重ねていきます。うまくいかないですよね。
柿の木やミカンの木の剪定枝を積み上げると、空間がいっぱいできて、なかなか強く燃えません。枝をさらに小さく切って炎の方へ差し込んでいきます。煙が風によって四方八方へ揺らいでいきます。煙に目をつむり、息を止めながら、炎と格闘します。これが楽しいんですよね。火の勢いが出てきましたので、石地さんは製材クズを炎の上にかぶせるように乗せました。製材クズは火に勢いがないとなかなか燃えません。
今日は本当に爽やかな日です。石地さんが火を焚こうと思った気持ちが良く理解できます。私も石地さんにつられて、久しぶりにたき火を楽しみました。

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