福島県須賀川市の有機栽培農家が自殺しました。30年以上前から野菜の有機栽培にこだわり、自作の腐葉土などで土壌改良を積み重ねてきた方です。キャベツは10年近くかけて種の蒔き方などを工夫し、この地域では育てられなかった高品質の種類の生産にも成功しています。農協でも人気が高く、地元の小学校の給食に使うキャベツも一手に引き受けていたそうです。『子供達が食べるものだから、気をつけて作らないと』と言って、安全な野菜作りを誇りにされていたそうです。
今月の23日にキャベツの摂取実直な人を殺す権利が、誰にあるというのでしょう。原子力を推進する国や事業者、それを誇大宣伝する俳優、さまざまな関係者に、歯ぎしりするほどの怒りを覚えます。これからさらに、こういった事例が出ることを心配します。どうか命だけは大切にして頂きたいと願っています。
関西電力社員が、美浜町の各家庭を回り、「関電の原発は安全」だと説明をしているようです。新聞折り込みの説明文を見ますと、甘い、甘い。地震の想定を、全く軽く見ています。
原発の耐震強度は、40年を超えた美浜1号機でも、建設時の新しい設備の材料の強度で計算されると聞いています。巨大であるがゆえに、そうしなくてはどうしようもないのですね。それに、建設時の手抜き工事なども直接の作業者から聞いていますので、原発が設計図やその規格通りに建設されていないだろうことも想像できます。福島事故以降、つい数日前に、町内で現場作業をしていた方からお話を伺いました。ひどい内容の話ですが、相手方から私の方に話しかけて来られたのです。他にも、聞いています。
恐ろしい話です。
電力社員は被ばくを恐れ、重要な作業であっても、現場の立ち合いをしないようです。美浜3号機事故の後に、当時の藤社長にこのことを伝えたことがあります。私は議員をしていましたので、そういう機会を得ることができたのです。藤社長はまじめそうな方に思えましたので、その後は幾分改善されているのかもしれませんが、福島事故の後で報道される現場労働者の発言を見ると、東電社員は被ばくを伴う現場作業に関わろうとしていないようですね。電力会社の実態はどこも同じなのではないでしょうか。
敦賀3・4号機増設に際し、県内の武生市で、市民団体が主催する賛成と反対両論を交わす集会が開かれました。推進側には日本原電の最高技術顧問と呼ばれていた方が出席していました。私が質問に立ち、現場労働の実態や美浜2号機事故の重要機器が次々と機能を果たせなかった状況を訴えました。私の質問への回答に『一部嘘がある』と言われ、再質問で触れられなかったので、彼が会場から出てくるのを待って詰問しました。「私の言ったことのどこにウソがある! 先程の話は、あなたの日本原電の下請け労働者から直接聞いた話ですよ!」と言いました。
社員が作業に立ち会わないために、現場の実態はひどい状況にあることを言いますと、その『最高技術顧問』の方は唇を痙攣(けいれん)させ、『それは何とかしないといけないと思っている』と答えました。「それは出来ないはずだ。社員は労働組合で守られており、被ばく線量が高まると抵抗され、推進にひびが入るから、、思っていても出来ないはずだ!』とたたみかけました。その時の光景を、今でも鮮明に覚えています。名前を出してもいいのですが、本人に内容の確認をすることもできませんので、『最高技術顧問』とだけ記しておきましょう。
テレビで有名な俳優さん、スポーツ監督などが語る原発は、実際とはかけ離れたものです。今回の福島原発事故で、その実態が結果として表れたことになりました。推進側と批判側が同じテーブルについて、真剣に意見交換を交わす場を作るべきです。地震の力は、電力会社や国が考えているほどひ弱ではありません。同じテーブルにつかなかったら、必ず同様の事故が起きることを私は断言します。

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