福島事故後、電力会社は県内の原発に追加電源を配備したことを盛んに宣伝していました。関電、日本原電などは地域に新聞折り込みを行い、「わが方の原発はこれで安全です」というPRをしていました。新聞報道でも盛んに宣伝され、多くの人は「これで大丈夫かな」と思ったことでしょう。
ところがマスコミの調査で、追加された非常用電源では容量が小さく、原子炉を冷却する装置を一部しか動かせないということが判明しました。これは地域住民へのだましではないかと思います。全電源喪失が起きた時にこの追加措置ではうまくいかないことを知っていながら、「大丈夫です」とPRしていたのですからね。電力会社や政府のやることは一事が万事こうです。
原発が安全に運転されるためには、事故想定をして完全に停止できる措置が講じられていなければなりません。全電源喪失という想定をして、「対策を打った」ことが効果がないということであれば、効果が確認されるまで原発の運転停止をしなければならないということです。
これは推進側が設定したルールであり、それを、福島事故後の今でさえ守っていないということです。県内の首長の発言を聞く限り、福島事故を防ぐ強い意志が働いていないと言わざるを得ません。残念ですが、県内の有権者の意志がそうですから、致し方ありません。福島の次は敦賀と覚悟せざるを得ないでしょう。
前福島県知事は、国のエネルギー政策に疑問を持ち、原発に頼らない福島県を目指していました。環境エネルギー政策の専門家に福島県の未来を提案してもらい、冊子にまとめていました。素晴らしい内容です。ところが取るに足らない理由をつけて、その知事は現知事に追い落とされてしまいました。こういう経緯を見ると、福島県で起きるべくして起きた事故であるとも言うことができるでしょう。
ですから、福井県の首長の動き、発言を見ている限り、次は敦賀だと思わざるを得ないのです。

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