中央防災会議が東日本大震災以降、地震・津波対策を検討してきた「専門調査会」の最終報告を、政府に提出しました。最大クラスの地震による揺れと津波を想定するよう提言しています。原発では、このことをどのようにとらえているのでしょう。
津波により緊急用ディーゼル発電機が使用不能になるまでの時間は、地震による被害を確認できる時間帯なのですが、そのところのデータは矛盾だらけです。この矛盾を指摘している研究者がいるにもかかわらず、政府、東電はまともに答えようとしていません。新聞、テレビなどのマスコミは、この指摘について、積極的に報道していませんね。これでは、「福島原発事故の再発」はさけられないでしょう。
格納容器の設計に関わった元東芝の技術者は、「原発の設計で、原発の直下に活断層があったら、まず設計そのものが成り立たない」と明言しました。その通りだと思います。原発の施設を固定している岩盤が裂ける可能性があるからです。
もんじゅには2つの断層が直下に潜り込み、美浜原発には1つの断層が真下に走っています。この事実も、多くの人たちは知らないようです。
「断層が動いたときにどれくらいのエネルギーが生じるのか」という評価式に、アメリカが作った「断層モデル」という式があります。経験式です。世界の断層の動きをデータ化して得た式であるということですが、日本の断層の特徴を考慮すると、その式では低く評価されることになります。
その差を巡って、幾人かの方が数例のモデル式を作っていますが、中央防災会議は「もっとも値が大きく出る式」を採用しています。しかし原子力村の連中は、「もっとも値が低く出る式」を採用しているのです。中央防災会議はより安全側に立ち、原子力村は危険な側に立っているということになります。
原子力安全保安院と永田町で交渉したとき、私は「あなた達が使っている式は、中央防災会議が使っている式ではなく、もっとも値が低く出る式を採用している。これらの6つの式を比較したうえで、あなた達が採用した式が、日本の断層の動きをもっとも良く表現していると判断したのか」と聞きますと、「比較さえしていない」事が分かりました。
これは「耐震偽装」と言えますね。そのように指摘しますと、彼らは黙ってしまいました。まさに「耐震偽装」です。このことを再三マスコミに訴えているのですが、記事にされていません。
「次は浜岡か美浜」と言われてきましたが、浜岡原発は動きそうにありませんので、次は敦賀半島の原発ということになるでしょう。なぜ、行政トップは、不安を感じないのでしょうかね。交付金という麻薬が、彼らの頭を狂わせているとしか、私には思えません。

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