福井地裁の「大飯原発3・4号機の再稼働を認めない」判決の中心は、耐震想定の甘さが厳しく批判された内容でした。その結果、「250キロ圏内の人格権が侵害される危険がある」と指摘します。
原発の耐震設計の基本となる基準地震動の設定について、信頼できる根拠はなく、基準地震動未満の地震でも、大事故のおそれがあるとも指摘し、地震の際の「冷やす、閉じこめる」という機能に欠陥があると述べています。
さらに使用済み燃料の保管については、「国民の安全が優先されるべきだとの見識に立っていない」とさえ判断されました。
関電の「原発を動かさないと電気代が高騰する」との言い分には、国民の生存権と電気代の問題を並べて論じること自体、許されないとも指摘し、安全技術、設備は楽観的な見通しで語られ、脆弱であると切り捨てています。
私たちが主張してきたことと全く同じ視点です。利害関係を外せば、普通に、誰でも、考える判決ですよね。福島原発事故で、電力会社や国の安全神話が崩壊したことが、この判決を生み出しました。裁判官の良識に、深く敬意を表します。
関電は昨日上訴することを決定しました。愚かな会社です。2016年には一般家庭までを電力自由化することが決められていますが、世論にたてつく企業は存在できません。
愚かなことをすれば消費者から徹底的に痛めつけられるというのが、この国の経済の形です。経済学原論しか学んでいない私ですが、経済学を深く学んでいるはずの関電経営陣は、地域独占と総括原価方式に守られてきたことで、経済学原論を捨ててしまったのでしょうね。
最後に、関電の理不尽を地域から裁判に導いてきた人たちにも、大きな拍手を送りたいと思います。

5