![バーダー・マインホフ 理想の果てに [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51TlgPVIH5L._SL160_.jpg)
「バーダー・マインホフ 理想の果てに」 ウリ・エデル監督,アレクサンドラ・マリア・ララ,モーリッツ・ブライプトロイ出演(ドイツ,2008)。映画。
ドイツの赤軍(RAF)の軌跡を描いた作品。タイトルは一人の名前ではなく,組織がバーダーとマインホフのグループという名で呼ばれたことから。150分の長編。
映画に力を入れているドイツの流れで制作されているので,アクション映画風です。赤軍派を描いた作品としては,イタリアの赤い旅団を描いた,
「夜よ,こんにちは」,日本の連合赤軍を描いた,
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」がありましたので,それらと併せて鑑賞すると,それぞれの監督の目指したものや描き方の違い,各地の赤軍の状況が分かって興味深いだろうと思います。
全世界的にようやくあの時代を表現してみようという試みが行われる時代になったということでしょう。
ドイツの赤軍については全く知識がなかったので,内容にはびっくりしました。強盗による資金獲得や過激化など日本の赤軍と同様の展開を辿っています。
ウルリケ・マインホフはジャーナリストであった訳ですが,テロリストになってしまうんですから驚きです。ヨルダンで訓練を試みるなど,テロリストの行動に国際的な一つのスタンダードができていたんだなーということが分かります。
当初の心意気はよくても,その後の論理の飛躍には驚きます。そしてこういう展開が国民性とかいったものではなく,ある種の普遍性に基づいているということも,赤軍3部作(と勝手に名付けましたが)から窺えます。
結果として,暴力によって対抗しなければ崩せないと認識された事態は,暴力によってではなく崩れていっている訳で,ここいらあたりを踏まえて新たな社会運動のあり方を模索する必要を改めて感じさせられます。
映画としていえば,本作はやや深みにかけますが,知らなかった事実を知らせてくれるという意味では参考になりました。

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