
「暴力団」 溝口敦著(新潮新書,2011)。
暴力団についての第一人者であるジャーナリストによるコンパクトな暴力団問題への入門書。
今年の10月に東京と沖縄で暴力団排除条例が発効したのに伴い,全国で条例が整った。暴力団排除に向けた法的な整備が一段落したといえると思う。
本書は,
第一章 暴力団とは何か?
第二章 どのように稼いでいるか?
第三章 人間関係はどうなっているか?
第四章 海外のマフィアとどちらが怖いか?
第五章 警察とのつながりとは?
第六章 代替勢力「半グレ集団」とは?
第七章 出会ったらどうしたらよいか?
で構成されている。
現状の規制のもとでは,これまでの形のような暴力団の存在自体が困難になるだろうと思う。本書では,暴力団以外の,匿名性の高い犯罪集団である「半グレ集団」にも着目しているが,こういう 暴力団とは異なる犯罪集団についても対応が急がれていると思う。
著者は,日本の暴力団対策が,暴力団の存在自体を許した上での規制になっている点で甘いのではないかとの指摘も行っているが,このあたりは評価が分かれるだろうと思う。 いずれにせよ,最近の法的対応については,暴力団の存在自体を許さない規制に変化していっているという評価は可能だと思う。
入門書としては読みやすい一冊。

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