dubdub雑記帳

「ゲロッパ」西田敏幸，常盤貴子主演，井筒和幸監督（２００３年）

「２５時」の後に見たので，期せずして収監前を描く二つの映画を連続して見たことになりました。
やくざの組長が５年の刑を受け収監を前に，ずっと会っていない娘に会うことを考え，また子分たちは，親分の大好きなジェームズ・ブラウンに会わせたいと奔走する映画。
こちらは，コメディー風。
井筒監督は，マイケル・ムーアの「華氏９１１」について，追求が甘いとか批判していたので，そんなこと言うたらあんたはどうなんだ，と他のページのレビューで切ったことがあったけど，まあ映画に対する取り組みが１８０度違いますからね。

さて，この映画だけれど。通俗的な娯楽作にしようという意欲が見て取れる作品になりました。関西弁と名古屋弁が飛び交う世界は，濃厚の一言につきます。
ジェームズ・ブラウンの歌に合わせて踊ろうとするところは気恥ずかしさを覚えますが，それを除けば意外に楽しく見られてしまう映画です。
結末を強引にハッピーエンドにしたところなんかは賛否両論でしょうが，日本映画の昨今の水準からすると十分合格点が付きます。

また，役者の演技がいいですね。特に子役（孫役）の人，いい味出してます。
共演陣も豪華なので，あーこの人が，という楽しみもある映画です。

ＰＳ２のゲーム。
「ぼくのなつやすみ」のスタッフが集結して作成し，取材に２年近くをかけたという売り込みでかなり期待させてくれた作品。
しかし，その期待は残念ながら裏切られてしまう出来。
しょーもないゲームになってます。

子どもを持ってからの３５年間を描く子育てゲームですが，とにかく自由度がない。まともにやっても１話が１時間３０分くらいで終わってしまう（一応３タイプで子どもが増えるのと，子どもの構成が変わるだけ）。
基本的に，眺めているだけのゲームという感じ。

このサイトに感想が載っていますが，的を射てますね。
とにかく時間の経過が早いので，一気に老け込んだ気持ちになります。
しかし，誰も死なないので，そういう意味でもありえない話になってます。
このゲームも即売りしたので，損害は避けられましたが。

ゲームの舞台は東京。高円寺に自宅があって，さすがに取材したというだけあって，リアルな静止画像が出てきます。
育てた子どもが大きくなっていくのは，確かにある種の感慨を呼び起こします。特に学費がかかって，いい学校に行かせようと思うと苦労するの何のって。
最初の子は，比較的いい学校を選択するのですが，子が増えるにつき余裕がなくなり，お前は学校はいいから働きなさいと思ってしまうのが，ある意味現実世界に似ているのでしょうか。
でも，あーあの子はいい学校に行かせられなかったなーと思っていても，結局立派に仕事をしている姿を見るとしみじみきます。
（お仕事紹介もなかなかよく出来ている。）

と，ここまで書いてくると，それなりにいいところもあるかもと思ってきた。
しかし，１８００円ならまだしも定価で買うべき代物ではない気がします。もう少しボリュームがあり，自由度が高かったらよかったんでしょうけどね。やっつけ仕事的な感のあるゲームです。

「Earthquake dub」 the revolutionaries（Hotpot,2005）

Ossie Hibbertがjoe gibbs と一緒にプロデュースしたアルバム。
オリジナル盤は，1978年の発売だが，長らく入手不能だった作品。
Channel one　で録音。
８曲のボーナストラックを追加。

The revolutionaries は，channel oneのハウスバンドの呼び名で，Bunny leeのところでは，自分のハウスバンドをAggrovatorsと名付けていますが，構成メンバーは重なっています。

Hotpotレーベルは，Cooking VinylのMartin Goldschmidt，Essential MusicのMike Chadwick，Blood & FireのSteve Barrowがそれぞれ出資した新設合弁会社。
本作とGlen brown & Friends / Rhythm Master volume oneの２作が，レーベル初作品となります。
このHotpotレーベルですが，今後の再発予定として，あの伝説の「Leggo dub」も予定しているそうです。

さて本作は，“Whip them jah”や“Judgement Time”といった有名リディムを使っており，レゲエ好きの人にとっては，一度は聴いたことのあるリディムたちが，Revolutionaries　のダブトラックになっています。

ぼくは，実はダブの中では，channel one の　Revolutionaries　のダブが一番好きです。上品なダブという意味ではこの時代に勝る物はありません。
しかし，聴いたこともない傑作が再発されることって，ほかのジャンルでもありますが，ルーツレゲエの場合は配給が弱かったこともあってその頻度と質が異様に高いので喜びがひとしおです。

「２５時」
エドワード・ノートン主演，スパイク・リー監督

麻薬販売で７年間の実刑判決を受け，服役を迎えるまでの２５時間を描く映画。
舞台はニューヨーク。
実刑判決でも出頭して収容というのがアメリカらしいですね。
　日本だと道路交通法違反や保釈が認められた案件（日本の場合はアメリカと違って，なかなか認めてもらえない）を除いて，逮捕時からの勾留のまま収容というパターンが多いですね。

　この映画は，服役を前に昔の友達に会ったり，自分を売ったのは恋人なのではないかなどという不安をもったり，父親と過ごしたり，ボスに呼ばれたりと群像劇のような形で静かに描いていきます。

　しかし，いろんな映画に出てきますがアメリカの刑務所って，ほんとに男娼のようにされてしまうんでしょうかねぇ。だとしたらひどいことだと思いますね。場合によっては，国賠なんかを起こしたりできそうな気がしますが，どうなんでしょうねぇ。

　クラブで時間を過ごすシーンがあるんですが，収容前夜を華々しく過ごそうと考えてこういうところに行くのが，なんだかはかない気持ちになりました。まあ僕の場合は，クラブに行ったこともないので想像ですが，きっと虚しいだろうなーと思います。
　話は変わりますが，ジョイスのダブリン市民に，この華やかさの中に潜む寂寥感がよく描けている話がありました。

派手な展開を期待せずに見るなら，得られるものがある。
人間描写は，なかなかのものだ。でも，設定に共感できるかが問題かも。

「aquarius rock」 various artists
(pressure sounds)

Altonさんの同じくプレッシャーサウンズ発の「Down Santic Way」の紹介を見て，一緒に買ったんだけれど，まずは発売日が先の本作から聴くかーと思って聴いてみたら止まらなくなって，なかなか「Down Santic Way」に進めないでいる恐ろしい１枚。

本作は，Herman Chin-Loyのレーベルであったaquariusの作品（７０年代初頭の音源）を集めたもの。

ハーマン・チン・ロイは，Augustus Pablo　の名付け親とされている人。
在ジャマイカ中国人（クォーターは，アフリカ系とのこと）。
中国系の人たちは，レゲエの歴史では欠かせません。Channel Oneレーベルのフー・キム兄弟，一族のRandy's　レーベルのクリーブ・チンやBeverley's　レーベルのレスリー・コング（ハーマンとは，いとこのようです。）と華僑の力恐るべしですね。
ちなみに，「Down Santic Way」の方は，レナード・チンのSantic　レーベル物のコレクション。
そうそう，マメ知識としては，このチン一家がニューヨークでＶＰレーベルを発足させたのです。

さて，本作ですが自由に音楽をやっていて型にはまっていないのがグッドです。ファンキーな曲があったり，エフェクトを効かせたりと，DIY的な曲の雰囲気も飽きさせません。
ぼくの夜間寝る前用のウォークマンでヘビーローテーション中です。

曲目は次のとおり
01. Aquarius Rock / Augustus Pablo & Herman
02. Darkest Night / James Eastwood
03. The Red Sea / Augustus Pablo
04. Alton's Official Daughter (Version 1) / Alton Ellis
05. Aquarius Dub / Herman
06. Alton's Official Daughter (Version 2) / Alton Ellis
07. Funky Aquarius (Aquarius Horns) / The Aquarians
08. Funky Strip / Charlie Boy
09. Iggy Iggy / Augustus Pablo & Herman
10. Road Runner / Sounds Unlimited
11. Pick Up The Pieces / Archie McKay
12. Song Of The East / Augustus Pablo
13. Middle East Skank / Sounds Unlimited
14. No More War / Beres
15. No More Version /? Herman
16. Snowball And Pudding / Augustus Pablo
17. East Of The River Nile / Augustus Pablo
18. Soul Vibration / The Teacher
19. River Nile Version / Herman
20. Return Of Sabata / Dennis AlCapone
21. Sabata / Herman
22. Song My Mother Used To Sing / Dennis Brown
23. Groove With It / Leroy Parker
24. I Man / Herman