「
子どものエンパワメントを考える
」国際人権ブックレット(ヒューライツ大阪,1999)
以前に買っていたブックレット。いろいろと必要性があって,読んでみた。
いくつかの文章で構成されていて(弁護士,NGOの方,子どもの立場から),資料編として国連子どもの権利委員会の総括所見とユースレポートがついている。
個人的には,エンパワメントという言葉は,日本語訳した方がいいと思う。もちろん,単に訳しても意味合いを正確に伝えることは難しいとは思うけれど,カタカナだと敬遠する人も多いと思う。
要は,子どもが主体的に行動できるように力づけていこうとする諸策のこと。子どもを単に守ってあげる存在ととらえるのではなく,その自発性を尊重するという,ある意味当たり前のことを実現する試み。
子どもの目線に大人が降りていくという意味合いもあると思う。
本書で指摘されて思ったけれど,確かに未だに子どもを見ていくことを「親権」なんて言っているもんね。概念の輸入先のドイツでは,既に「親権」は,「親による保護」という言葉になっているそうです。
後半に,「在日コリアンとして本名で生きていく」という権智子さんの小文(高校3年生の時のもの)がありますが,在日として日本に生きる意味合いを率直な言葉で表現していて感動的でした。
いつものように,教育の問題に行き着く訳ですが,やはり対話による教育が重要だと再認識させられました。差異を認識して,理解をして,尊重していく。子どもも多様です。彼らの可能性,感性を生かしていくことが年寄りだらけの社会にとっても,大きな変革のチャンスになるんだろうと思います。

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