
「
宴のあと
」 三島 由紀夫 著(新潮文庫,1960)。
憲法のプライバシー権を勉強する時には,かならず出てくる
「宴のあと」事件判決(須賀博志京都産業大学法学部助教授のページから)で有名な小説。実話に着想を受けたモデル小説とされるけれど,実際には読んだことがなかった。そこで,まあ憲法ブームの一環として読んでみたというわけ。ちなみに,三島由紀夫の小説を読むのも実は今回が初めて(潮騒や金閣寺を手に取ったことはあったけれど,読むまでには至らなかった。)。
料亭雪後庵を経営する女将と元外交官との熟年の恋と都知事選候補になったことから選挙戦を戦うさまが描かれる。選挙シーズンの終わりをもって「宴のあと」とは,なかなか粋な小説だ。
モデル小説だけあって,さっぱりした記述で,人物描写も優れていて特に選挙の描写は生き生きしている。プライバシーの侵害で裁判は起こされたけれど,その描写には嫌味なものはなく,今となっては当時の貴重な記録になったような気がする。
ところで,雪後庵のモデルは,
般若苑というところで,現在も現存するようです(同名別場所でない限り)。
要予約で,昼:20,000円(税別、おまかせコース、5名様から),夜:25,000円(税別、おまかせコース、2名様から)だって。この小説を読んでから,一度行ってみるのも面白いかもしれませんね。

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