「プロタゴラス」
プラトン著(藤沢令夫訳,岩波文庫)。
決めました。プラトンは,岩波文庫で出ているものは全部読みます。さて,本書は,大ソフィスト(弁論家)であるプロタゴラスとソクラテスとの出会いを描きます。
お題目は,ソクラテスの関心事,徳は教えられるかです。これは,「メノン」におけるのと同じテーマです。
しかし,さすがプロタゴラス。素晴らしい切り返しを見せています。今回は,どちらかというとソクラテスの方がソフィスト的な意地悪い聞き方をしていたような気がしてしまいました。
プロタゴラスは,徳は教えられるのだとし,それは人が他人の行為を叱ったりすることを見ても明らかだとします。これが人の身長のように変えようがない事実であれば,人は(批判しても無駄だから)批判しないと(基本的にdubdubの意訳です。)。また,犯罪を罰するのも,更生する可能性があることに着目しているのだから,こうやって更生するということを前提としていることからも,人は変えられる,つまり徳は教えられるのだ。と言う訳です。
また,メノンの時に出た疑問である,徳のある人の子どもが必ずしもうまく育たないのはなぜか?という問に対しても,そりゃ素質でしょ,ギター弾かせたって素質のない奴には無理な訳(同様に意訳),と来ます。
確かに,長嶋一茂が,長嶋茂雄に及ばないことを見ても納得ですよね。
ここで,ソクラテスは自分の土俵である,一問一答の世界で勝負するように伝えます。ここでの,議論の方式についてのやりとりもなかなか興味深かったです。当初,場の雰囲気では司会役を置こうということになるのですが,これに対してはソクラテスが反対し,一問一答方式で,答えたくない場合には逆に質問をぶつけてくれ,そうすれば自分が答えるから,というルールを作ります。
某討論番組でも,司会が幅を利かすのではなく,こういうルールを採用したら面白いのではないかと思います。日本でも,学校教育で討論のルールや討論の仕方について勉強したら面白いし,日本ももっと活気づいてコミュニケーション能力が上がるのではないかと思います。
(続くかも。)

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