「キング・アーサー」
アントワーン・フークア監督,ジェリー・ブラッカイマー製作,クライブ・オーウェン出演(2004,アメリカ)。
アーサー王伝説の映画化。設定をローマの末期にし,アーサーをローマ帝国の人間として描いた点が珍しい点。故郷のローマ帝国を捨て,ブリテンで生きることを選択するアーサー王を描く。
まあ,アーサー王伝説とは無関係な映画だと思って楽しめば,それなりでしょうか。その人なりの思い入れがあるでしょうが,ぼくにとっては,これはアーサー王伝説ではないなーという感じ。
グラディエイターなんかの一環として見るべきものでしょう。
自分の描いていたローマがもはやそこには存在していないと悟った時のアーサーの失望はよかったですね。つまり,愛国心とは単なる「ローマ」に対するものではないのです。あるべきローマ,自分の理想とするローマ。蛮族の王妃は,郷土に対する愛をアーサーに訴えます。
ここだけ見ても,愛国か郷土愛かは二律背反するものでありうる訳です。まあ,こういうところだけ見ても,いわゆる愛国心論争は,悩みがないなーと思ってしまうわけです。
この映画,冒頭のアンチ・ローマ,反逆者としてのアーサーたちという姿の方がよく描けていて,後半に行くにしたがって,スペクタクルは増すのかもしれませんが,筋書きが退屈になってしまいます。
アーサー王伝説のどこを描きたいか,どこがアーサーらしさなのかについて,もっと踏み込むべきでしたね。

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