「ビフォア・サンセット」
リチャード・リンクレイター監督,イーサン・ホーク, ジュリー・デルピー出演(2004年,アメリカ)。
「ビフォア・サンライズ」の続編。前の別れからの9年後の再会を描く。ジェシー(男)は,あの日のことを小説にしてベストセラー作家となり,世界各国をプロモーションツアー中。パリでのサイン会でセリーヌと再会する。二人はパリの街に出ていく。
前作も良かったですが,本作はまた輪にかけてよくなった感じです。32歳という設定が年齢的に近いからかもしれないですね。セリーヌは,環境問題解決のために活動するアクティヴィストになっていて,さらにグッと成長した感じ。関心の違いもアメリカとヨーロッパの感覚の違いという感じで面白かった。
やはり大人になると,会話がうまくなりますね。聞いていて安心な感じ。皮肉も結構効いています。セリーヌのアメリカ生活の話で,銃がないと身を守れないぞと警官に脅された話とか,ロシアでの地味な生活が意外に物質的な欲求を刺激されずに自由に感じた話とか,世界の状態は悪くなる一方なのに,これを変えるための試みはかなり地味な細々とした取り組みであることとか(子どもたちに鉛筆を届けるなんてことね。)。
当然,戻れないあの日に想いは向かっていきますが,これだって30代,お互いの人生がある訳です。情熱ばかりに生きてもいられない。
落ちこんでいたセリーヌが,ジェシーの境遇を聞いて元気を取り戻すところなんて,人の不幸で励まされちゃう心理をよく示していて,にやっとしました。
30代になると,人生もいろいろあるわけよ,ってな感じの映画。楽しめました。

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