
「歴史 上」 ヘロドトス著,松平千秋訳(岩波文庫)。
ヘロドトス読んでいます。紀元前400年代の書物です。「歴史の父」と呼ばれることもあるので知っている方も多いでしょう。
文庫では,全3巻のボリューム,各巻にオリジナルの3巻づつが収録されています。
正直,読み始めようかどうか迷いました。ボリュームもだし,そんな昔の歴史書読んで面白いかねーという気持ちもよぎりました。
ところがどっこい,これは面白い。小話の宝庫ってな感じ。途中,地域の説明なんかが長ったらしい感じを受けることはあるものの,基本的に面白さ抜群です。
上巻は,クロイソスやキュロス,ダレイオスの話が続きます。
リュディア(国)の王位が移った経緯についての記載もすごい。王様のカンダウレスは自分の妃が自慢でしょうがない。腹心のギュゲスにも自慢して,脱いでもすごいんだ,まじだよ,お膳立てしてやるから覗き見してみ,と迫る。
ギュゲスは断るものの,王様にたてつくわけにもいかず,渋々応じたんですが,妃にばれてしまいます。
よくも,私の裸を見せやがったな,あのハゲ親父と憤ったどうかは不明ですが,怒った妃は,ギュゲスを呼び出し,王を殺し自分と王国を手にするか,ここで死ぬかだと迫ります。こうして,ギュゲスは王様を殺して,王位を簒奪してしまいます。
うーん。王様も妃のこと好きだからそうしたんだろうと思うんだけど,デリカシーがなさすぎましたね。っていうか,そういうことは人に自慢してはいけませんね。
代は変わって,クロイソス。アテネのソロンに幸福な人間は誰かということを聞きます。当然,繁栄していた王国の王である自分のことを言うと思えば,どこの誰とも知らない者の名前ばかりあげる。曰わく,生涯を終えてみないと幸福は分からない,と。
世に無常という言葉がありますが,確かにあれだけ栄華を図った人がこんな酷い死に方を,ということはよくある訳です。
クロイソスは,その後,ペルシアを攻め,キュロス大王に負けてしまいます。火あぶりにされそうなときに,やはりソロンの言ったことは正しかったと述べたことが王の耳に入り,クロイソスの話を聞いたキュロスが同情して彼の命を救います。
こうしてクロイソスはキュロスのご意見番になる訳です。
という感じで,とにかく興味深い話のオンパレードです。少しずつ紹介していきたいと思います。
(つづく)

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