「僕の彼女を紹介します」
クァク・ジョエン監督,チョン・ジヒョン,チャン・ヒョク出演(2004,韓国)。
「猟奇的な彼女」の監督と女優コンビの作品。ちまたでは評判はあまり良くない作品(というのは,見てからネットで知った)。チョン・ジヒョンが例のごとくぶっ飛び系の役所,今回は警察官。これに付き合うは,学校教師役のチャン・ヒョク。
金曜の夜だし映画見たいなーと日が変わってから思い立ち,見たんだけれど,そこそこ面白かった。評価が分かれるのは分かる。
まず,前半と後半は別の映画になっている。これは中途半端。前半はドタバタコメディーとしては,それなりによくできていたと思う。チャン・ヒョクが警察署で,彼女救いたさに打つ芝居はなかなかのものでした。
彼が,警察官の彼女に何気なく投げかける「クソしか目に入らないか」という言葉は辛辣だね。確かに,警官という仕事はややもすると,「クソしか」目に入らないよね。これは軍事的危機を煽る傾向のある人も同じ。
愛国心教育が言われる昨今を背景にすると,いわゆる標準規格から外れたカップルなんていうのも許されない存在なんでしょうね。しかし,画一的なイメージ(例えば,愛国的態度とは,とか,礼儀正しいことが最上であるとか,こうあるべし的な見方)に捕らわれると人生観がみすぼらしくなります。やっぱり人間,意外な一面を発見して喜ぶくらいの度量が必要です。ギャップがあればあるほど面白いだろうに。
そういう意味では,チョン・ジヒョン演じる警察官は絶対にゴメンなんて言わないけど,やっぱりキュートですよね。これを愛国心教育が必要だ,なんていうメンタリティーで考えていくと,謝らない奴は態度がなっていない→最低限の躾もなっていない駄目な奴だ→批判と流れていく訳です。
みなさん気をつけましょう。やっぱり,リベラルの方が人生豊かになるんですよ。
映画は,崖崩れが起きたあたりからちょっと色合いが変わってしまう。悲劇的なシーンは,確かに不合理なんだけれど,やっぱり胸が熱くなりますね。で,その後は喪失感をどう乗りこえるかという違う映画になってしまいます。頭を切り換えれば,それなりに楽しめます(たぶん)。
家出してきたガキ共とチョン・ジヒョンが行き会う場面があるんだけど,人はああいった経験を通して,この世に残りつづける意味を理解するんじゃないだろうか,時間は自分を中心に動いているのではないという感覚が実は救いになる要素ともなりうるということ。
最後のころは,喪失感を乗りこえるためにいくつかの符号(これを人は奇蹟と呼ぶ)を示した。確かに,符号があれば人はより楽になるだろう,でも,そんなことは稀ですよね。ということで,そのあたりが映画的な演出がやや過剰になった部分だろうと思います。

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