
「歴史 上」 ヘロドトス著,松平千秋訳(岩波文庫)。
まだ上巻の巻2あたりの感想を書いている。スピードアップを図らねば。しかし,どうしてもエジプト王,ランプシニトスの宝蔵の話だけは欠かせない。
この王,宝物をしまう丈夫な蔵を造った訳です。しかし,その職人の一人が細工をして,石を外せるようにしておいた。臨終のとこで,父は息子たちに秘密を伝えた。
そこで,兄弟は言われたとおりに,蔵を破ります。金庫破りですね。
宝物が減っていることに気付いた王様は不思議がります。難攻不落の蔵のはずなのに。そこで,罠をしかけることを思いつきます。
知らずに忍び込んだ兄弟でしたが,兄が罠にかかって動けなくなります。「弟よ,俺を殺せ,首をはねて持っていくんだ」。
泣く泣く首をはね,脱出をしますが,王様は首なしの死体を発見して激怒。死骸を壁に吊し,泣き悲しむものが家族であろうから,そいつを捕らえよと命じます。
我が子を失った母は,兄を取り戻さなければ全て打ち明けると,弟に迫ります。
「そりゃねーぜ,マザー」
そこで,彼は驢馬の背に酒袋を積み,行商人のようにして現場付近に行きます。そこでわざと酒をこぼし,取り乱したところを慰めてくれた番人たちに酒を振る舞い,彼らを酔わせて死体を回収します。
「何たることじゃ,目にもの見せてやる」とばかりに,王様は娘に,娼婦になって今までしたことの中で一番巧妙でしかも非道であったことは何かと客に聞きながら犯人を捜すように伝えます。現代だったら,「はぁ!」とか言われて殴られそうですね。
ところで,この話を察知した男は,死体の手を懐に忍ばせて,王女に事実を話します。王女は,こいつだとばかりに手を押さえつけて番兵を呼んだものの,そこには死人の手。ことここに至っては,王様も脱帽。
分かった,素直に出てこい。許すし,王女も取らそう。で,一見落着。
うーん。誰かに映画化してもらいたいような内容ですね。
巻2は,エジプトの風俗についてもよく伝えています。巻3は,ペルシアの話になっていきます。カンビュセス,ダレイオスですね。
(つづく)

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