
「迷走王ボーダー」狩撫麻礼原作,たなか亜希夫画(双葉社)。マンガ。オリジナル版は全14巻。評価がそれなりに高いのでオークションで買いました。再発もされたようですが,いずれにせよ絶版状態のようです。ただ,オークションなどには時々あがってきます。
安アパート「月光荘」で極貧生活を送る蜂須賀と久保田,それに東大志望の浪人生(のち合格)で東北出身の木村の三人が巻き起こす騒動を描いた作品。
ボーダーとは,自分たちから見て「あちら側」と称した世界(一般の人や常識人の世界)と「こちら側」との境界線上を行く者という意味。
漫画アクションに連載されたということからも分かるように,大人向けの漫画になっています。普段は,コメディー調の日常活写という感じで,タイトルとは裏腹にサザエさんのような,いつ終わるとも分からぬような感じ(もちろん全然違いますが)。
前半読んでいる時は,こりゃだめだなーと何度も挫折しそうになりましたが,後半から動きが出てきて,なるほどそういうあたりに心動かされた人たちがいるのねってな感じです。
極貧生活と大金。極貧生活と女性。とまあいろんな対比があるわけですが,後半のボブマーリーネタとか,いきなりブルーハーツにはまってしまうところとか,それなりに異色の漫画になっています。特に,安西均編の「戦後の詩」(こちらも絶版)なんか出てくるところは,一風変わっていますね。
それでも世の中分かってるんだ的な主人公は,読者によって好き嫌いがあるかもしれませんね。
結局一番小さくまとまっているのが漫画の主人公じゃないかよ,なんていう愚痴を言うのは,ヤボかもしれませんね。
原作が当て字で,カリブ・マーレーはやられましたね。ボブのアルバム「UPRISING」まんまの10巻の表紙は,ボブ・マーレーファンにはネタの一つになるのでは。

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