「コーラス」
クリストフ・バラティエ監督,ジェラール・ジュニョ,フランソワ・ベルレアン出演(2004,フランス)。
まるで監獄のような寄宿舎「池の底」に赴任してきた先生が生徒に合唱を教えるため奮闘する話。1944年のフランス映画「春の凱歌」を原案に作った作品だそうです。
校長は「やられたらやりかえせ」をモットーに厳しい規律によって生徒を抑えつけようとしています。これに対し,子どもたちも相当なものでワルばっかり揃っていて,黙ってやられっぱなしにはなっていません。ここに,音楽家崩れの少し禿げ上がった主人公マチューが先生としてやってくるんですから,苦労しないはずがありません。
タイトルから合唱ものだなーということは大体予想がつきますね。予想に違わず少年たちの美声にも聞き惚れます。
しかし,それだけじゃないところがこの映画が偉かったところですね。
マチュー先生の教育方針は結構面白いです。体罰によらない教育を考える良い素材だろうと思います。でも,そんな中にも問題児のモンダンという生徒が教室を引っかき回します。
結局,彼と心が通じ合うことはありませんでしたが,マチュー先生が彼とどう組み合ったかを想像するのも一つの楽しみです。もしかすると,モンダンは,最後まで抵抗し場合によってはマチュー先生を精神的にのみならず肉体的にも傷つけることがあったかもしれません。しかし,モンダンの反抗も孤独の裏返しという側面があるだろうなーと思います。自分が教師だったらどう対応するだろうかと考えると,なかなか考えさせられます。
マチュー先生は,優しいながらも彼なりの規律というのが透けて見えて,なかなか面白い人物像になっています。ある意味フランスらしい佳作ですね。

0