「暗黒神話」 諸星大二郎著
「孔子暗黒伝」 諸星大二郎著
漫画。諸星大二郎を読むのは今回が初めて。暗黒神話は,1976年から,孔子暗黒伝は1977年から連載されたもの。どちらも諸星の初期作品に位置する。
暗黒神話の帯には,
「邪馬台国,出雲神話,三種の神器,密教の秘法!幾重にも張りめぐらされた謎が,次々と解き明かされる法悦!日本列島に大いなる星座が重なる時,ヤマトタケルは降臨する!!」と記載されている。確かに要約は難しい。
日本を舞台にした奇想天外な話。文庫版だと字が細かいので,失明の危険を感じながら読むスリルっていう感じです。話の展開は,なんじゃーそりゃーと思うのですが,まあこんなことがマンガでやれるということですね。文庫版には徐福伝説も収録されています。
で,この作品に頭がクラクラしながら,「孔子暗黒伝」へ。こっちは,文字通り主人公は孔子です。別に孔子が悪の結社を作り悪事を行うという話ではありません。
老子が出てきたり,仏陀が出てきたりとこちらはさらにパワーアップした奇想天外かつ壮大な話。個人的にはこちらの方が好きでした。民俗学を流し込んだマンガって,そうはないですよね。
孔子暗黒伝のラストは,暗黒神話に続いていきます。作品の発表順は暗黒神話の方が先ですが,この循環(円環)は,ボルヘスを思い起こさせてくれ独特の印象を残します。
両作品とも短編ではないので,諸星ワールドの激流に流されるという感じです。しかし,この人の造形って,グロくなりすぎず独特ですね。
お別れは孔子暗黒伝の開明獣の笑顔で。

ではな。

4