「多重人格探偵サイコ」 大塚英志原作,田島昭宇画(角川書店)。漫画。
現在11巻まで刊行。残酷描写が特徴の漫画。
元は,多重人格の探偵(?)が主人公だったんだけれど,段々と陰謀物の色彩が強くなって,今となっては,多重人格として発現した個々の人格をめぐる話といった感じになってしまいました。
他の媒体(小説や映像)でも展開していて,ますます話は分かりにくくなっているようです(最近多いですね,こういう商法)。
この手のジャンル(異常殺人,多重人格,サイコ)については,映画なんかでもよく取り上げられていますよね(そういえば,レクター博士もまだ人気で,今度は
「ハンニバル・ライジング」だって。)。まあ,そういう意味では時代の潮流に乗った作品なんでしょうね。
で,これをどう読むかなんですが,立ち位置によって結構変わりますね。
バーチャルな感じで残酷さを極めていったと考えれば,よくある少年漫画の次から次へと強い敵が現れていく場合と似たようなもんですね。
一度はこんな表現をしてみたかったということで,今まで空白だったある種のジャンルを埋めたという意味合いで評価することは可能かもしれません。
しかし,謎という部分で見ていくと破綻が来そうですよね。どうしても,謎を仕掛けると他の話とかぶってくるのは避けられないもので,やっぱり既知感があります。
また,結局,極端もありふれてしまうと日常というか平凡に堕してしまう訳で,物語の後半のキャラクター(笹山と天馬)がほのぼのと日常を進めていった方が結局は読者の満足感が高いような気がします。
ということで,まあ,何となくよくある作品の一つという感じがしちゃいました(よく見ているじゃないかと言われそうですが,個人的には,グロイ作品は嫌いです。)。

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