「ユア・マイ・サンシャイン」 パク・チンピョ監督,チョン・ドヨン,ファン・ジョンミン出演(韓国,2005)
実話の映画化。牧場で働くソクチュンが恋した水商売の女性ウナ。ウナは当初,ソクチュンに対して好意を抱いていなかったが,ソクチュンのひたむきな愛に気付き,やがて二人は結婚する。しかし,そんな幸せな結婚生活も束の間,ウナの元夫(酒飲みでDV)が現れると共に,ソクチュンはウナがエイズ陽性であることを知ることになる。そんな中,ウナは家を出てしまう。
展開はそれなりに予想できる。底辺の恋という感じです。主人公にスタイリッシュとは縁遠い牧場青年のソクチュンを持ってきたあたりが異色でしょうか(実話とはいえ,制作する側からすればあえて選択したといえるでしょう)。下手をすると地味さ爆発になりそうですが,ファン・ジョンミンはうまく演じていましたね。対するウナを演じるのは,カンヌ主演女優賞(2007,「密陽」)を受賞したチョン・ドヨン。オーラというものがあるとすれば,それを完全に封印した,いかにも下町っぽい演技を見せてくれました。
韓国映画の性表現もだんだんと過激になってきましたね。映画の主題とも絡んで猥雑な感じの描き方でした。なんか昔の表現が懐かしい。
映画の中では,ドライブイン・シアターも出てきて,
「春の日は過ぎゆく」が放映されていました。
確かに,ウナとソクチュンのすれ違いは,ある意味あの映画のモチーフと一部重なるなーと気付かされました。もちろん,その後の展開はこちらの映画の方が熱いですが。
しかし,言いたいことは直接言い合わないとだめですね。相手の気持ちを勝手におもんばかって,すれ違いが生じてしまう。このパターンって,アジアの映画には結構多いですよね(実はぼくは,こういう惻隠の情といった感覚が嫌いです。やはり喧嘩すべき時は喧嘩すべきでしょうし,言うべきことははっきりと言った方が誤解がないと思う)。もちろん,こういう部分,一種の優しさがあるからこそ,後でああそうだったのかと感慨深いっていうこともあるんでしょうが。逆に欧米的に言えば,そんならはっきり言えよなとなるんでしょうね。
ソクチュンが母親と決別するシーンもそうですが,文化的に興味深いシーンがけっこうありました。やはり,韓国ではまだ儒教的な縛りって強いんでしょうかね。

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