「諸怪志異」 諸星大二郎著(双葉文庫)。マンガ。
諸星熱に駆られて買った一冊(正確には2冊)。まだ読んでいなかったのが嬉しい。双葉文庫版では,2巻まで,コミックでは,4巻まで発売。3,4巻は読んでいないのだけれど,弟子の阿鬼が成長しているようです。また,3,4巻は未完の作品が多いという話なので,全て短編で完結している1,2巻は一つの作品として見てもよいでしょう。
中国の怪奇談をまとめた蒲松齢の「聊斎志異」にインスパイアされた,諸星大二郎の中国奇談集。まず,その発想がただものではないですよね。
学識と怪奇の融合する短篇集という感じで,相変わらず完成度が高いなーと思います。やや大人の読者を対象にしているあたりもマンガの世界の奥行きを感じさせますね。
話は,宋代を舞台に,道士の五行先生とその弟子で霊を見ることができる見鬼の阿鬼を主人公に展開する。第1巻,第2巻とも11編の短編を収める。
五行先生は圧倒的に強いんだけど,別に五行先生のスーパーヒーローぶりを描こうという訳ではなく,どちらかというと人間の本性を突くというか,物語を通していろんなことを考えさせる教養物語としての意味合いもありますね。
短編マンガの手本といっていいような傑作。

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