それぞれ鳥と魚をモチーフにした諸星大二郎の連作集。両作とも良いです。
「私家版鳥類図譜」 諸星大二郎著(講談社)。マンガ。
「鳥を売る人」
近未来の設定。魚類図譜の「魚が来た!」と対になる作品。空のない街に今まで見たことがない生き物を連れた行商人が現れる。鳥だというが,それが何なのか誰も分からない。
「鳥探偵スリーパー」
肩の力を抜いた,ばかばかしい一作。
「鵬(ほう)の墜落」
鳥たちに漢文の世界を語らせるあたりが絶妙ですね。
「塔に飛ぶ鳥」
独特の世界観。タワーの世界という設定が見事ですね。
「本牟智和気」
大和時代を舞台にした歴史物。鳥の声を聞いて占う鳴女が時代の運命を左右する。
「鳥を見た」
廃墟で見かけた巨大な鳥の影。「僕とフリオと校庭で」(
「彼方より」収録)の雰囲気に似た話。
「私家版魚類図譜」 諸星大二郎著(講談社)。マンガ。
「深海人魚姫」
陸上の世界に憧れる人魚のファンタジー。「深海に還る」でその続編を描く。
「鮫人(こうじん)」
歴史色のある話。宋の皇帝から命を受けて鮫人を探すチャン・ウー,難破したチャンウーは女だけの村にたどり着く。
「魚が来た!」
私家版鳥類図鑑の近未来の設定と同じ。本物の魚を見たことのない者たちが機械の魚を見つける。
「魚の学校」
栞と紙魚子風の話。マグロ先生のおやじギャクにやられる。
「魚の夢を見る男」
魚への憧れと社会的不適応。古代魚マニアというのがいい。
「深海に還る」
恋物語として昇華した,諸星作品としては珍しい雰囲気の作品。
「ネタウナギ」
書き下ろしのあとがき風マンガ。
うーん。はまり出すときりがないな。最後は,これで。

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