「電脳コイル」 磯光雄監督(2007,電脳コイル製作委員会)。アニメ。
NHKで放映されたアニメ。各話25分弱で,全26話。タイトルは知っていて興味は持っていたのですが,先日の再放送をちらっと見てその世界観に惹かれて全話見ました。
ネットでも,エヴァンゲリオン+宮崎駿といった雰囲気と語られることが多いですが,まさにそんな感じ。監督の磯光雄さんは,宮崎駿作品の原画を担当したり,エヴァンゲリオンの作画を担当したりしているので,当然と言えば当然なんでしょうが,SF作品としてはいい塩梅です。
ストーリーとしては,近未来の日本を舞台に,金沢から大黒市に転校してきた小此木優子を主人公に展開する。近未来の日本では,「電脳メガネ」というヴァーチャルリアリティ機能のついたメガネが流行っていて,この電脳空間をめぐる話。電脳空間には,ところどころバージョンの古い,古い空間が残っている。なぜか,大黒市には古い空間が多く,また奇妙な都市伝説が蔓延している。
優子(通称ヤサコ)と勇子(通称イサコ)の物語ということで,見た人ならこのフレーズだけでジーンとなるものがある。
主人公は,小学生だけれど,どう見ても小学生向けではなく,どちらかというとアニメオタク向けのアニメになっている。
サイバースペースという設定もさるものながら,人物の配置がうまい。弱い男としてのハラケンに,宮崎作品でいえばラピュタの海賊のおばあちゃんかと見紛うメガばあ,イサコはナウシカのクシャナ風のかっこよさ。
また,エヴァンゲリオンからは,罪の意識を持ってきてうまい具合に融合してしまった。
話としても破綻なく,全部見るとなるほどと頷ける出来。日本SF大賞を受賞したのも納得できる。まだ見ていない方がいれば是非。

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