![瞳の奥の秘密 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51n231%2BWuAL._SL160_.jpg)
「瞳の奥の秘密」 ファン・ホセ・カンパネラ監督,リカルド・ダリン,ソレダ・ビジャミル出演(スペイン,アルゼンチン,2009)。映画。
借りた5本全部を無事に見ることができました(遊びすぎという言葉も聞こえるような気が)。
刑事裁判所を引退した男が,昔捜査を担当した事件を小説にしようとして,昔の同僚を訪ねる。かつて恋心を抱いた上司でもある同僚女性は結婚している。
彼が取り上げた事件は,美貌の新婚女性の暴行殺人事件。失っても,なお妻を思う夫の姿と,すっきりと解決できなかったこの事件に引っかかりを持った彼は,再び事件に向き合うことになる。
主人公の男自身が恋した女性へのなお尽きない気持ちと事件が彼の人生に与えた影響とが,彼を過去に向かわせます。同時に事件の遺族にとっては,当事者として過去の事件に釘付けにされている訳です。そういう二つの想いのようなものが期せずして合流します。
アルゼンチンの司法制度は驚きですね。
ラテン・アメリカ諸国では,
「糾問主義的な刑事司法制度(裁判官の職権により訴訟手続きが開始され、裁判官が捜査を指揮し、犯人・証人に対し尋問・裁判を行う)が採用されてきた」とのことなので,裁判官が捜査を担当する訳です(現在は検察官,弁護人がいる,当事者主義構造に変わっているそうです)。
しかも軍事政権時代なので,警察の捜査では拷問は当たり前で,行政権限で殺人犯も釈放してしまったりしています。こういうのを目の当たりにすると,メディアが報道して批判の声が大きくなり,好き勝手できない社会って大事だなと思います(ただし,そういう政治情勢でどこまでメディアががんばってくれるかは未知数ですが)。
捜査もかなりルーズで,住宅に不法侵入して手紙を持って来たりしてしまいますが,これももみ消してしまっています。
まあ,そういう驚きの部分はあるのですが,映画は,時間の流れと失ったものに対する想いといったものを中心に置いているので,興味深く見ることができました。
アルゼンチンは死刑制度がないのですが,主人公が遺族に死刑になって欲しいかと聞いたのに対し,そんなのは簡単すぎると遺族が反対するシーンがあり,ああそういう反対もありうるのかと思いました。
ハリウッドでリメイクを予定しているようだけれど,どうなんだろう。どぎつい映画になってしまわないか心配ですね。

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