
「ゆうやけ公園」 近藤ようこ著(徳間書店)。マンガ。
近藤ようこさんの作品がよかったのでまとめ読みをしようと思っています。本作は,著者の最新作で,3.11震災前の最後の作品ということになるそうです。
タイトルにもなっているゆうやけ公園でホームレス生活を送るおじさんを起点に様々な人生模様を切り取ります。このおじさんを起点とした連作短編集という形が,本書に安定感を与えています。
「生きがい」
認知症の津島さんとホームレスのおじさんとの交流。津島さんの昔の思い出が交錯する。
「ウォーキング」
ウォーキングをしていた妻に代わり,ウォーキングを始めた夫。
「落とし物」
DV癖のある彼と暮らす若い女性。そんな彼女の落とし物。
「タイムカプセル」
旧友と埋めたタイムカプセル。好きな人の名前もお互いにこっそり書きあった。結婚を機にタイムカプセルを掘りだそうとする。
「夏休み」
両親が離婚してしまった。夏休みにいつも父親の田舎に行っていた翔太は,父に新しい妻と子がいるのを知る。子どもの気持ちとそれでも親子であるということ。
「くされ縁」
ライターと編集者の腐れ縁の二人。ライターの山村は最近事故に遭った。山村は結婚しているが,編集者の金子は未婚。仲のよい二人を見る山村の妻。こういう人間関係を描けるのはすごいと思うな。
「ナチュラル」
最愛の息子に彼女が出来て。気になってしょうがない母親。
「夢の墓」
公園で倒れて亡くなった男。息子が公園を訪れる。父親は自分が生まれたばかりの頃に離婚して妻と子を残して出て行ったが,免許証に入っていた女性の写真は見たことのない女性だった。
「詩を読む人」
家に戻らない夫と別居状態にあり何事にも関心を持てない中年女性。そんな彼女が詩集を手に入れ,昔の恋を思い出す。
「別れ」
ホームレス男性は公園を去る。施設に入った津島さんも再登場。
相変わらず,すごい描写力ですね。どの話も大人だなーと思わせられます。

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