![コネクション マフィアたちの法廷 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51i9579MtXL._SL160_.jpg)
「コネクション マフィアたちの法廷」 シドニー・ルメット監督,ヴィン・ディーゼル,ピーター・ディンクレイジ出演(米独,2006)。映画。
「12人の怒れる男」の名匠シドニー・ルメットの作品。
80年代にマフィアを追い込むため,ジュリアーニなんかを中心にマフィアの取り締まりに力が入れられた。その結果,rico法(組織犯罪用の共謀罪のようなもの)でもって,マフィアのグループ20人が起訴されるに至った。
本作は,この現実の裁判を映画化したもの。
この裁判で注目されたのは,被告人の一人であるジャッキー・ディノーシオ(Jackie DiNorscio)が,弁護人を付けずに本人訴訟で裁判に臨んだこと。
一見して地味そうな作品です。実際にも史実をたどった地味目な映画という印象は拭えません。陪審裁判で21か月も公判をしたそうです。
日本でも裁判員裁判が始まっていますが,21か月も裁判員をやることができる人がいるんだろうか。また,こういう映画を見ると日本の裁判官の転勤システムだと職業裁判官も替わってしまい不都合だよねっていうのが良く分かります。
アメリカだと強制的に弁護人が付けられることはないのかなーとか,よくこんなに大人数を収容できる法廷があるよなーとか,標準スタイルが出来ると紋切り型で同じような法廷を作りたがる日本の実情を考えると,今もこういう規模の法廷は維持されているんだろうかとか気になることがたくさんあります。
陪審裁判での被告人自身の弁護活動がどういう展開をとるかも予想できず,その影響も読み切れないことから,公判の円滑な進行ということだけを意識すると到底許容できないという考えになりそうですが,検察官も裁判官も,あるいは共犯とされた被告人の弁護人も,審理を進めながら考えるという姿勢で対応している。こういう姿勢は,裁判制度の持つ重要性(あるいは,裁判制度に対する尊重の念というか)を端的に示していると言っていいでしょう。

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