「突撃」
スタンリー・キューブリック監督,カーク・ダグラス主演(1957年,アメリカ)
舞台は,第一次世界大戦下のヨーロッパ。フランスの701部隊を率いるダックス大佐に,ドイツ軍の要所である「あり塚」攻略の命令が下る。メディアを意識した突然の攻略作戦にダックス大佐は困難を指摘するが,結局作戦は決行され,失敗に終わる。突撃しなかった(できなかった)部隊に対し,将軍は激怒し軍法会議で死刑に処すると言い出す。
この映画,一度途中まで見たことがありました。フランス軍のはずなのに英語で語られることはちょっと違和感を感じましたが,映画としては迫力のあるシーンが続きます。
ダックス大佐は,凄腕弁護士だったこともあり,作戦を成功させたいミロー将軍とぶつかることになります。軍法会議で兵士の弁護をダックス大佐は買ってでますが,このあたりは法廷ものにもなっています。
第一次世界大戦らしい描写ですよね。壕を掘っての戦争。西部戦線異状なしの舞台もこの戦争でした。
効率的な作戦遂行,成果の達成ということを考慮すれば,犠牲がいくら出ても結果が出せればいいのだという考えに傾きがちです。
で,そういういわばマクロの視点と戦場というミクロの視点の交錯が本映画の見どころだと思います。
兵士の被害も数字でみれば単なる数字,しかし他方で軍法会議で死刑を宣告されて思い悩む「具体的な」兵士を見れば,戦争の愚かさと生命の意味がじわじわと伝わってきます。

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