各種の世論調査を見ても,単純に改憲を問うた場合に,改憲を是とする意見が多いようだ。
こういう世論調査の結果を見ると,へこみそうになるけれど,そうへこんでばかりもいられない。マトリックスの世界じゃないけれど,一人でも多くの人間が一線を超えてきて欲しいと思う。
どのような形にせよ,良識ある意見というのは,少数派にすぎない訳です。憲法改正するな,という声は,9条改正して軍備を野放しにするな,アメリカの圧力に屈するなというメッセージなのですが,これをその通りに受け止めるのは難しいですよね。
護憲は今まで左派勢力が訴えてきた訳で,左派アレルギーないし政治アレルギーを持つ多くの人は改憲でもいいと考えがちな訳です。
教室で,これこれについてどう思うか?と質問する。多くの人間がいいんじゃないと答える。意見発表になる。いろんな意見が出る。さて,もう一度決をとる。これが望ましい。
少なくとも十分な情報が与えられ,自分との利害関係をしっかり認識する。しかし,日本社会は教室になるべきネットワークがない。
選挙の際には,情実や雰囲気で投票することを是とすることを時の政権は進めてきたし,学生運動はつぶしてしまった。労組の影響力も乏しい。 こういう中で,どこで議論をすればいいのか。ネット人口だって限られているし,例えばアメリカのような教会を中心とする議論の場もない。
そもそも国民が意見を出して,政治を動かしてきた経験が我々にあるのだろうか。そこまで追い込まれる経験が我々にあっただろうか。
日本の帝国主義にゴーサインを出して,突き進み。戦後は,経済成長の恩恵を受けて55年体制を維持してきた我々に,果たして時の権力が向かおうという方向に釘を刺すことができるのだろうか。
いまだに,誰かが登場してくれないか,という他者に対する期待感がないだろうか。
何となく流されて,後で苦しむというのもいいかもしれないが,それならそれなりに覚悟が必要だ。そう,苦しんでいる時にはそれまでの経緯を捨てて手も差しだそう。
しかし,憲法に関してだけは,ほかのこととは違う。この重石を動かすことだけは慎重でなければならない。保守的になるべきところで,保守的になってくれよ,日本人。
改憲に反対する人が,その思いを共有していく。それを伝える言葉を用意する時間はあまりない。
この問題に関する限り,政党や既存の組織では何の役にも立たない。あくまでも,地球市民として一線を超えた市民だけが,防波堤になれる。
すみやかに津波に備えよ。

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