何点差が付くのかと心配した@NE戦ですが、終盤までリードを奪う健闘を見せ、28-31と僅差の勝負に持ち込みました。終盤リードを守りきれない場面では強いチームとそうでないチームの差が出てしまいましたが、大健闘と言えますしこの試合はチームの今後に大きな影響を与える事でしょう。
いきなりBrian WestbrookへのパスをINTリターンTDされる所から試合が始まってしまいました。これはファーストダウンを狙いに行くのを読まれて待ち構えている所に投げさせられたのが原因です。試合終盤にも2INTを奪われますがこれは逆転の為のハリーアップオフェンス中ですし仕方が無いと言えます。A.J Feeleyはこのうち2つに関して投げ捨てようかと思ったと言っていますが、どう考えても普通に投げたら取られちゃったパスです・・・。普通にドライブする能力は有るのですが、負けている試合をひっくり返さなければならないような場面では脚も肩も無いFeeleyではパスを警戒された時にそれを打ち破る力はありません、良い所と悪い所の両方が出た試合といえます。
Westbrookのランは17回51ヤードと平均3ヤードに数字上押さえられました。しかし、大健闘の前半はWestbrookへのランを見せ付ける事でFeeleyのパスを生み出しています。逆にランが有効でなくなった事が後半の苦戦に繋がったといえるでしょう。Correll Buckhalterはノーキャリーに終わっています。
欠場したDonovan McNabbに替わってスターターを務めたFeeleyですが、345ヤードを奪い3TD3INTと素晴らしい成績を残しました。McNabbと何が違うのかと言えば、MIA戦でも指摘しましたがショートミドルでの思い切りの良さが格段に優れています。思い切りの良さと言って良いのか、投げて良いかを判断するのが早いのかは微妙だと思うのですが、McNabbがどフリーかINT覚悟の博打で投げるのに対して、体半分出た所で投げる事ができるのは素晴らしい点です。ただ、テイクバックしたままターゲットを見続け、ターゲットが抜いた瞬間に投げるスタイルですから、分析されるか罠を仕掛けるようになるとINTを量産する事になるかもしれません。
去年も感じた事なのですが、Marty MornhinwegとMcNabbの相性が悪いのがこの試合ではっきりしました。本来WCOと言うのは5ヤードで1人、10ヤードでもう1人、2人がカットを切ってダメな頃にTEやRBがルートに出るような時間差で次々にフリーのレシーバーを生み出す切り替えのシステムなのですが、McNabbがロングを好む為にロングに出るまで待ち(待てなければポケットから出て)そこでフリーに成れなければスクランブルしかないようなWCOの根底を忘れてしまったようなオフェンスをしています。そして去年のJeff Garciaを見ても今日の試合を見ても明らかですが、Mornhinwegは10ヤード程度のパスを積み上げる古典的なWCOを好みます。McNabbとFeeleyの総合的な能力と言う点ではMcNabbが上だと断言できるのですが、McNabb+MornhinwegとFeeley+Mornhinwegの組み合わせと言う点ではFeeley+Mornhinwegが勝っているのではないかとMIA,NEの2戦を見て感じました。McNabbがいつ復帰するのかは分かりませんが、これで復帰後成績が振るわない場合には本当にMcNabbを放出する事を希望する声が出てくるかもしれません、そしてFeeleyを選んだときにAndy Reid,Mornhinwegがチームに居るかは微妙です・・・、もう一度Feeleyがドラフトピックに化ける方が確率が高いでしょうね。
この試合を支えたのはOLです、完璧なパスプロテクションでFeeleyを守り続けました、同時にラッシュを掛けられても逃げられるような速いタイミングのパスを多用した事でラッシュを押さえ込む流れを作っています。そしてランプレイで中央を割る事は少なかったのですが、Vince WillforkをJammal Jacksonが1対1で処理し、Shawn AndrewsはTy Warrenを押し続けました。そしてスーパーボウルでオフェンスを壊し続けたRichard Seymourを試合から消してしまいました。スーパーで負けた事で始まった3-4対策のC,Gの大型化が実ったと言う事です。
ディフェンスは今シーズン怪我で苦しむLaurence Maroneyのランを前半はほとんど見せなかった事も有り、期待以上の頑張りを見せました。Randy Mossに対してLito Sheppardは奮闘し続けました、序盤ゾーンでやられてからマンに切り替え、その後はBrian Dawkinsとダブルチームする事で43ヤードに押さえています。敗因は2番手3番手のレシーバーを抑えられなかった事です、ニッケルででたJason Hansonがひたすら狙われました。マルチレシーバーに対してDBが足りないのはSSを2枚欠く事とWilliam Jamesが役に立たない事で明らかでした。Wes Welkerに149ヤード、Eaglesを放出されたJabar Gaffneyに87ヤード、Donte Stallworthは54ヤードと仕返しされてしまいました。来年はドラフト上位で1人FAで中堅を1人の最低2人はDBを補強する必要があります。
スーパーでの敗戦でブリッツを減らしDLだけのラッシュをさせるようになったJim Johnsonもこの試合でその変化の集大成を見せてくれました。4-3ではなく3-3-5のニッケルを引き続けて、SLB Cris Gocongを3ポイント2ポイントスタンスを使い分けDEに入れたりDTの後ろに入れたりとラッシュに変化を持たせ続けました。DEに入れて一度はOLに外に出された後に後ろから追いかけてタックルを奪う場面では運動能力の高さを見せてくれました。Javon Kearseの放出が確定的ですし、DEに再コンバートする事を考えても良さそうです。
NE@INDを見てそのままDAL戦を見た日、あまりの質の違いに絶望に近い感情を持ったのですが、最低のシーズンを送るこのチームにもまだ闘志が残っている事を確認できる試合でした。試合の流れを変えてしまったパント時のオフサイド以外ほとんど無駄なペナルティーを受けず、全ての選手が試合に集中していました。この意識の高さをこれまで見せられなかった事が残念ですが、後半5試合でこの試合と同じだけの質の高いプレイを見せる事が出来れば去年のような追い上げを見せてくれるでしょう。負けて5勝6敗と厳しい星勘定は続きますが、低迷するチームに光が差し込んだ試合になりました。