3日目 7月25日(日)
今朝も目覚めは早かった。
4時30分で
日の出の時間は過ぎてしまったが、しばらくの間、デジカメを片手に
宗谷岬方面から昇っていく
ご来光を眺めてきた。きょうも出発は早い。5時40分に
朝食をとって
6時30分にはホテルを後にした。いよいよ旅行も
最終日で、ツアー客の顔にはどことなく
名残惜しさが伝わる。
宗谷湾沿いを走るバスの車窓からは遠くに
利尻富士が見える。何度見ても飽きることはないが、これで
見納めになると思うと、一抹の寂しさを感ぜずにはいられない。15分ほどで
宗谷岬に到着した。
北緯45度31分14秒に位置する
日本最北端の地である。北極星の一稜をモチーフにデザインされた
「日本最北端の地の碑」で3枚目の
集合写真を撮影した後、ツアー客は最寄り最寄りで記念写真を撮っている。近くには
樺太探検で名を馳せた
間宮林蔵の像が立っている。ここから
43kmの距離にある
樺太(サハリン)が、はるかかなたにうっすらと見える。空気の澄んだ冬場ならともかく
夏場に見えるのは極めて
珍しいと言う。
ガイドが
「3日間の天気といい、樺太が見えることといい全く信じられません」と驚くのも無理もない。
バスは
オホーツク海沿いをひた走る。この日は日曜日ともあって
猿払(さるふつ)村の海岸には
釣り人の姿が目に付く。遠浅の海なので投げ釣りのみである。
猿払村は
ホタテの養殖で日本一を誇る。養殖と言っても
「稚貝放流法」なので、
ホタテ貝が動き回ることができ
筋肉が発達し、コリコリとした食感が味わえるのが特徴だと言う。
8時近くに今回の旅行の最終見学地となる
「クッチャロ湖」に到着した。
クッチャロ湖は
白鳥の飛来地として有名だが、
白鳥が本州に渡るための休憩場所と言ったほうがいいだろう。
ラムサール条約に指定された
野鳥の宝庫でもある。北海道には似た名前の
「屈斜路湖(くっしゃろこ)」がある。ガイドの案内によれば、これはもともと
アイヌ語で同じ意味なのだが、
方言によって発音が違うだけなのだと言う。同じものに、
納沙布(のさっぷ)岬と
野寒布(ノシャップ岬)がある。
ダケカンバの茂る
国道275線を通り、車窓に広がる
中頓別(なかとんべつ)町の
牧場地帯を眺め、やがてバスは
国道40号線に入った。
音威子府(おといねっぷ)村を通過したが、とにかく北海道には
難読地名が多い。
アイヌ語に漢字を当てている(当て字)のだから無理もなかろう。
途中
道の駅「びふか」に到着した。ここ
美深町は
ジャガイモの生産が多い。
キタアカリコロッケと
チーズ入りパンプキンコロッケの2個を買い、お昼までの
つなぎとした。当然ながら缶ビールも頂く。
道央自動車道は
美深−名寄間が開通し無料で
供用されていたが、名寄から
士別まではまた
国道40号線に戻った。このあたりでは
水稲も作付けされているが、
北海道は丈が短く密植栽培が特徴である。
士別剣淵ICから高速道路に上がり、ほどなく
上川盆地が眼前に広がってきた。遠くには
旭川市街地が見える。ここまで来ると、ようやく旅も
最終章に近づいてきた感が強い。
そして予定通りのスケジュールで順調に進んでいた時に、思いも寄らぬ
ハプニングが待っていた。
交通事故処理のため、
深川IC−滝川IC間が
通行止めとなったのである。
「深川ICまであと2キロ」の
掲示板が出てから
渋滞でバスはほとんど動かない状態。こういうときに困るのが
自然現象・トイレである。案の定、我慢しきれない客が出始めた。高速道路であろうとも
男性は
立ちションが可能だ。
「出物腫れもの所嫌わず」というが、
生理現象は
女性も同じ。我慢にして具合が悪くなるよりは外で済ました方がいい。寒い方面への旅行であるから大半の客が
ウィンドブレーカーを準備している。添乗員・ガイドの指示のもと、ツアー客の
チームワークもよく
囲いを作り
「仮設トイレ」の完成、そして無事用たし終了。
深川ICで降りた途端に
交通止めが解除。料金所の出る前だったので
Uターンして高速道路に戻ったが、この間の
ロスタイムは
30分。これで昼食とみやげの買い物の会場となる
「砂川ハイウェイオアシス」での
時間の短縮を余儀なくされた。昼食は
「ジンギスカン」。美味しい
海の幸を食べてきた後だけに、食が進むはずはなかったが、
味付けラム肉は
臭いも強く食感もイマイチ。昼食も半ばに
おみやげ買いに奔走した。
空港での買い物の時間がほとんどないと言う状態なので、ここで買わざるを得ないのである。初日に寄ったとき、帰りに食べようと思っていた
「北花楼のソフトクリーム」は行列ができていて諦めざるを得なかった。
新千歳空港には予定より5分遅れで到着した。
エンピロがどうしても買いたいおみやげがある。それは
「サッポロクラシックビール」。旅行中に何本も飲んだが、
北海道限定なのでここで買うしかない。空港内の
酒店をやっと見つけ、
おみやげ用箱入りを買い求めた。これで心置きなく家に帰れそうである。
飛行機は予定よりも
15分ほど遅れて福島空港に向けて飛び立った。
福島空港に到着間際になって
機内アナウンスが入った。
「福島空港上空に雷雲が発生し、着陸できない状態と管制塔から連絡が入りました。雷雲が消えるまで約15分ほど旋回して待機します。飛行には支障はありませんのでご安心ください」とのこと。これまた
想定外のハプニングである。空港から
30kmほど
南方で
5回ほど旋回した後、無事着陸した。旋回が終わって着陸態勢に入った時、
エンピロは
「センカイと言っていたのに、5回で済んだのだから995回も得したよな」と話し、機内に
笑いが起こった。
空港で
添乗員と
ツアー客に別れを告げ
解散した。福島空港からは
エンピロと
OIさんが運転を務め一路会津へと向かった。途中
五百川PAで美味しいと評判の
手打ソバを食べ、
午後7時過ぎには無事発地に
到着した。
帰宅した
翌日、
福島空港や
茨城県では
ゲリラ豪雨に見舞われ、
欠航が相次いだ。我々も少しずれていたら、予定通りに帰宅できなかったかもしれない。
3日間の天候といいすべての面で報われていたことに
感謝しなければなるまい。また、楽しいツアーを企画してくれた
タビックス福島、
添乗員、
士幌交通の
ドライバー、
ガイドさらに同行された
ツアー客各位にこの場を借りて
感謝を述べたい。

宗谷岬に見える日の出。

5時40分と早い朝食。
ホテルロビーで出発を待つツアー客。
日本最北端の地でポーズをとるエンピロ。

間宮林蔵の立像。

猿払村の海岸に見られるホタテの貝殻の山。細かく砕いて薬品になるとか。

果てしなく広がる中頓別町の牧場。

青々としたクッチャロ湖。冬には白鳥が羽を休め本州に渡る。
クッチャロ湖で記念撮影。羽を休める?九十会のメンバー。

滅多に見られない宗谷本線を走る特急列車。電気が通っていないのでディーゼル車である。

道の駅「びふか」で食べたキタアカリコロッケ(左)とチーズ入りパンプキンコロッケ。

通行止めのために渋滞が続いた深川IC手前。

昼食で食べた味付けラム肉のジンギスカン。生肉よりも臭いが強く新鮮さがない。
無事福島空港に到着してホッとするメンバー。

仏壇に供えたおみやげの山。

利尻昆布と入っただけで価格は1.5倍となる。右は利尻島で買ったこぶ巻き。

エンピロ一押しのサッポロクラシックビール(500ml×6本入り)

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