10月28日(木)〜29日(金)の日程で
「第52回全国社会教育研究大会福島大会」に参加してきた。今回は
郡山市にある
「郡山ユラックス熱海」と
磐梯熱海温泉「ホテル華の湯」の
2会場で開催された。
県外から
約500人、
県内から
約400人の計
約900人の関係者が集まった。2日目の
分科会が
5分野あり、それぞれの参加人数が多く、1会場では対応しきれず、2つの会場を利用することになった。
大会スローガンは
「うつくしま、ふくしま発。地域が元気になる社会教育! 」。
研究主題は
「『継承』と『創造』が循環する地域社会をつくる社会教育振興のあり方」となっている。我が地域からは、
K委員長の他に、女性の
SFさん、事務局の
SHさんと
エンピロの
4名が出席した。
開会行事の開始時間は
12時30分からであるが、Kさんが初日
全体会受付の
協力スタッフになっているので、早めの出発になり
9時45分には会場の郡山
ユラックス熱海に到着した。スタッフは
「スタッフマニュアル」に基づいて、それぞれの役割を担当することになっているのだが、分刻みで
時間、
業務内容などがまとめられている。
昼食時間も
10時30分から
11時30分までに交代でとるのだが、
Kさんは準備された
スタッフ用弁当を食べたらしい。我々
3人は注文しておいた
一般用弁当を頂いたのだが、
スタッフ用弁当と一般用弁当では価格も内容も違うのである。我々は美味しい弁当にありついたが、Kさんは残念ながらスタッフ用弁当で終わってしまった。Kさんの分も注文してあったのだが、さすがに
2つは食べられないということで、
受け取り放棄となった。なお、参加者には前もって
「大会参加券」、
「弁当券」、
「宿泊券」、
「懇親会参加券」、
「分科会参加券」が
クーポン券となって配布されている。さすが、
大手旅行会社が取りまとめているだけあって、全てにきめ細かく抜かりがないものだと感心した。これで受付時の
チェックも容易で
ミスや
トラブルも防げることだろう。
開会行事は定刻に始まり、国歌斉唱、主催者あいさつ、祝辞、表彰と滞りなく進んだ。
午後1時30分からは
基調講演である。筆者は1年間に何回か講演を聴く機会があるが、いずれも内容が素晴らしく退屈することはほとんどない。今回の
講師は
NPO法人ライフマネジメント理事長の
佐藤安太氏。
演題は
「未来設計システム思考技術で日本国民・日本国家の輝かしい未来を設計し再生復活をめざす」。
佐藤氏は
福島県いわき市生まれで
「ダッコ(だっこ)ちゃん」「リカちゃん人形」「人生ゲーム」「チョロQ」等の生みの親であり、
“おもちゃ王”と呼ばれた方で、
株式会社「タカラ(現タカラトミー)」の
創始者である。
「だっこちゃん」の誕生は
50年前のことで、たぶん筆者よりも上の世代でないとわからないだろう。小さいころ腕に挟んで遊んでいたことが思い出され懐かしい気分になる。
何と現在
86歳の高齢だが、歯切れもよく話す内容も理路整然としており全く年齢を感じさせない。驚くなかれ、
平成19年に
83歳で母校である
山形大学大学院理工学研究科ものづくり技術経営学専攻の
博士課程に入学したのである。
松尾芭蕉と同じく
旅に出る決意をしたというのだが、
自己実現をするための
「自分探しの旅」ということらしい。講演の内容が豊富で付したいことはたくさんあるが、総じて今の
日本の現状を危惧する言葉が垣間見られた。
「国家全体の政策・戦略がないと成果は出にくいもので、人材育成の教育事業が全体最適の最優先課題」と話す。また、幸福な人生を送る要素として
「徳育」「家育」「知育」「体育」「美育」「遊育」「財育」の
「7つの育」があるという。
「家育」「美育」「遊育」「財育」など初めて耳にする言葉だが、佐藤氏の話を伺っていると納得することが多い。
大学院に入学された時の
ビデオが放映されたが、
入学が単なる学位目的ではないことが窺える。現在は
山形大学の
客員教授を務め、
「ライフデザインマネジメント工学」を学生に教えている。
「博士号は最終の目的ではなくて出発点。これからも研究を重ね学生や社会人らの能力開発に寄与したい」と述べる。また、佐藤氏は
感謝の気持ちをいつも持っていて、出会ったすべての人に
「ありがとう」という言葉を常に忘れないという。ビデオの
エンディングには、
いきものがかりの
「ありがとう」(NHK連続ドラマ「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌)の歌が流れていた。余談になるが、筆者の
担当は
「案内誘導係(あんないゆうどうがかり)」である。
そして誰もが
ビックリするような話を準備していたのである。それは、
昭和20年4月12日、
学徒動員で働いていた福島県
郡山の
軍需工場(保土ヶ谷化学)で米軍の空襲に遭い、
防空壕に逃げ込んだが、掘り出されたときには、会社以外の人も含め
35人が亡くなり、
自分一人だけが助かったのだという。九死に一生を得た
自分の人生を無駄に過ごしのでは、亡くなった方々に申し訳ないという気持ちが生まれたらしい。今のあの
「ダッコちゃん(2001年から「だっこちゃん」)」も
命の大切さを知ってもらおうという気持ちから生まれたものだという。
「タカラ」を一代で
トップ企業に築き上げた根底には、
世界平和ために何かをやってみたいという
熱意と
使命感があったことだけは間違いないようだ。
最後は
「日本国の輝かしい未来は、最適な社会教育・学校教育によって実現する。人材育成の戦略を日本国の最重点戦略として掲げよう」と結んだ。現在の国家戦略には厳しい批評をするが、顔を拝見していると
温厚な人柄が伝わる。
「リカちゃん(本名:香山リカ)」の
「生みの親」でもある佐藤氏の
人間像を肌で感じることができた感動的な意義深い講演であった。
<つづく>
●関連サイト
「第52回全国社会教育研究大会福島大会」

全体会会場となった「郡山ユラックス熱海」

エンピロが食べた
一般用弁当。栗ごはんが大変美味で内容も充実していた。
スタッフ用弁当は写真に収めなかったが、一般用弁当に比べ価格も内容も見劣りするのは止むを得ない?

全国から
約900人が一堂に会した開会式。1階フロアは表彰者のみ。

全国社会教育委員連合表彰を受ける受賞者代表の神野昭次(二本松市)さん。
受賞者を代表して神野昭次さんがお礼の挨拶を述べる。受賞者の大きなリボンがひときわ目立つ。

講演をする佐藤安太氏。開会式を始め初日の全体会では、必ず
手話通訳士が立っていた。もちろん交代要員が何人もいる。

山形大学大学院
学位式に臨む佐藤安太氏。【ビデオより】

1955年に設立された「佐藤ビニール工業所」の写真。東京都葛飾区の
宝町に会社を建てたため
「タカラ」と名付けたという。そう言えば
ダッコちゃんもビニール製品である。【ビデオより】

根強い人気のある「リカちゃん」。今は何代目なのだろうか。【ビデオより】
50年前に
250万個が売れる大ブームヒット商品になった
「だっこちゃん」

第52回全国社会教育研究大会福島大会の冊子(左)とスタッフマニュアル。

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