先日、千葉のTさんからメールで「謎の生き物」という写真が送られてきました。
Tさんは子供向けの生き物本をたくさん書いているすごい人。
ゲッチョさんが絵を描いた「土のつくる生きものたち」という本を書いた人と言えばここに来る人たちにはわかっちゃうかな?
虫だけでなく、様々な生き物に鋭い視線を向けているため、彼から送られてくる写真はいつも楽しみ。
今度は何かな?
ファイルを開いてみると・・・こりゃ何だ?
繭みたいな物体にツノが生えてる。側面には翼のようなものもあるし。
直感的に冬虫夏草ではないか?と思ったため、早速アリタケさんに見せてみた。
「冬虫夏草ですよね」
と意気込む私に、
「う〜ん?」
あれれ?違うの?
「ぱっと見て、これに該当する冬虫夏草がないんだよ。冬虫夏草だとしたら新種だけどね」
新種なら喜びそうなもんだけど、表情はいまひとつ。疑ってるね。
私には冬虫夏草としか見えないので、Tさんに実物を送ってもらうことに。
で、届いた実物は、私が見る限りやっぱ冬虫夏草。
もうひとつの容器にはTさんの奥さんがこの繭から出てきたというガも入っていました。Tさんは繭から出たのは間違いだとのこと。
早速、アリタケさんに繭を見てもらうと
「う〜ん」
おいおい、これでもまだ疑うか?
「まあ、とりあえず、乾燥標本ということで取っておくよ」
なんとなく釈然としないまま帰宅。
あっ、そういえば、ガも入っていたっけ。名前だけでも調べておくか。
というわけで、「日本産蛾類大図鑑」を見たら、名前はトビイロリンガ。
小さいけど、黄色がきれいなガだね。
どれどれ、どんなガなのかな?
解説によれば、
「日本では関東南部を北限とし・・・」
ふんふん、東北にはいないガのようだね。
「・・・幼虫、食樹は不詳。繭のみ知られており・・・」
おやおや・・・
「繭は卵形、両側にフラップ状の付属片を有し、さらに2対のヒモ状の長い突起を生じる」
えっ??
こ、これって、今回の繭じゃない?
いやー、まいったね。ちゃんとした繭だったんだ。
Tさんの奥さん間違ってなかったんだね。
そして、アリタケさんのすごさもあらためて認識しました。さすが冬虫夏草のプロ!
それにしても、なんのためにこんな不思議な繭を作るんだろう。
驚きと感激!
Tさん、ありがとうございました。

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