松川浦でのマルタンヤンマの余韻が残ったまま、悶々としていたところ、今日の仕事が思ったよりはかどったため、午後3時15分から2時間の時間休を取ることにした。
もちろん、行き先は松川浦。
3時15分きっかりに出られるよう、自分の机にはいないで、実験室へ。机にいると、出る直前に電話が来て、出発が40分!になったりしちゃうからね。
午後5時過ぎ・・・松川浦に着くと、すでにネアカヨシヤンマとアオヤンマの乱舞が始まっていた。
今日の目的はマルタンヤンマ・・・・メスのあの独特のシルエットとオスのちょっと小型でスマートな姿をイメージしながら、上空を見上げる。
すると、上空をマルタンのオスらしきシルエットがっ!!
振り向きざまに5.6メートルの竿を思い切り振るっ!
と、その時、
「バッキッ」
という音がして、5段の真ん中の付け根が折れてしまった・・・
まさかっ・・・
折れた磯玉用つなぎ竿を見て、いったい何が起こったのかと、呆然としていた。
そうえいば、この竿は13年前、ラオスにトンボ採りに行った時にも使った年代物。
普通、このような竿は1シーズンか2シーズンでダメにしてしまうというから、なんとも長持ちしたというか、あまり使っていないというか・・・
そんな感傷に浸っていたら、今度はマルタンのメスが上空を横切った・・・
こんなことはしていられない・・・この竿をなんとかしなければ・・
そこで、折れた部分をつなぎ目に無理矢理押し込んでみたら、表面の繊維がばりばりとはがれてはきたものの、なんとか入った・・・折れた部分がふくらんでいるので、ストンとはいることもない。
軽く振ってみたら、がたがたはするものの、なんとかなりそう・・・
「よしっ、これで行ける」
上空を見上げると、ちょうとマルタンのメスが近づいてきた・・・
低い・・・
竿を構える・・すると、親指の付け根に痛みが走った。
はがれた繊維で切ったらしい。ぱっくりと開いた傷口から血が流れ出る。
しかし、やめるわけにはいかない・・
痛みをこらえて、トンボの後ろから、竿を振る・・・
メキメキっ、ピシッ・・・
危うい音を出しながらも竿は持ちこたえた・・・
しかし、ネットはトンボのほんのちょっと下をかすめた・・・・
なんてこった!
ちょうど折れた部分を押し込んで短くなった分、届かなかったんだ・・・
この後も何回かメスが飛んだが、高くて届かず。
オスと思われる個体も横切るが、突然視界に入るため、なかなか対応できない。
しかも、突然竿を振ると、再び折れる可能性もある。
そこで、シルエットではっきりと区別できるメスだけを狙うことにした。
それまでは、竿を振ることを極力さけ、竿の疲労を少なくしなければならない。
なんとしても、マルタンを採るまで、この竿が折れないように・・・
そして、午後6時10分・・・・マルタンのメスが近づいてきた。
届きそうだっ!
トンボめがけて竿を振る・・・・バキバキッ、ピシッ・・・
「折れないでくれっ」
祈りながら竿を振る・・・・
マルタンのシルエットがスッとネットに吸い込まれた・・・
「うぉぉぉぉおおおっ!!やったぁぁぁあああ!!」
回りに誰もいないのはわかっていたけど、誰かがいても同じだったと思う。
ネットからマルタンを取りだして、
「よっしゃぁぁ!」
ガッツポーズ
夢にまで見たマルタンヤンマ・・・ついに採集っ!!
午後6時40分・・・乱舞のピークがややおさまり、夕日に染まった松川浦をあとにした・・・
去年のネアカヨシヤンマに続き、今年も興奮を与えてくれた松川浦に感謝!!

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