松岡正剛の多読術  社会

ネットで色々な調べ物をするようにスタイルが変化しても、
やはり知識の泉として、あるいは思索の止まり木として、
本を読む、つまり読書の営みはなくなりそうにないと思う方は
少なくないはず。

で、読書法。色々な読書の方法が語られてきた中で、関心の
あったのはこの人、松岡正剛でした。彼の「多読術」(筑摩書房)
のなかにおもしろいキーワードを見つけたので列挙しておきましょう。
まさに、「正剛の読書の極意」です。

と、勢いづいてみましたが、キーブックからのリンクとか、マッピング
とか、とてもサラリーマンが片手間にやる読書とは訳が違う。

で、キーワードの列記にトーンダウン。(-_-;)

・読書は「無知を未知へ」のみちのり
・読書は「編集すること」
  =書いてあることと自分が感じていることが「混ざる」こと
・本をノートと見なす、養老猛は2Bの鉛筆でマーキング
  (↑ ノートだ、ほんと、しかし古本屋へ売れない)
・本は二度読む
・吉本隆明は「文章の男前」、自分が書いたことをそのようにはしゃべれない
  (↑爆、ナルホド)
 書き手はびくびく文章の演技をしている
  (ダカラ、キラクニヨメ??)
・書き手は複雑な文章の可能性をやっとまとめている
・編集工学と編集構造、空気が読めないKYはこれに通ずる
・人類が音読から黙読に変わったのは15世紀前後
・読書は夜、根っこを延ばす
・スランプの時、自著を読む。これは特効薬
  (ハハア、文章男前ダカラ?)
・場所が知を支えてきた。「知の場所」がいる
・長期の知財に投資する「知識結い」
  (≒集合知?)
・読書は傷つきやすい、フラジャイルだ、他者との交際だから

著者が薦めるように、結構いい加減に読みました、ハイ。

(筑摩書房)
雑木林&庭づくり研究室
http://homepage3.nifty.com/hayashi-kokoro/index.htm
NPO法人苫東環境コモンズ
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3

どちらに木を倒すのか  社会

日本のGDPの0.1%にも満たない林業は、もはや「業」なんかじゃない、
といわれてきましたが、原子力が後退を余儀なくされる今、もう一度、
業としてカムバックするのではないかと、予想しています。

その基礎的なところに生産性がありますが、ドイツやオーストリアの樹木の
伐採システムは、わたしが知る限り、極めて効率化、特に運搬用路網
整備がされています。そしてそれと不可分なのが伐採技術。

昨年、EUがこの方法以外、許可されないというチェンソーによる伐採の
テクを勉強熱心なプロに学びマスターし、昨日は、その木が傾斜している
方向とは別の方角に倒すことに成功しました。ちょっとした、いろいろな目覚め。
それでこの日記を書いています。

いえ、今までできなかったというのではなく、その必要がなかったのです。
人の居ないところでやるので、倒す方向をあまりシビアにコントロールする必要が
なかった。

このテクは、コントロールと同時に、実は安全性が著しく高いのです。
伐採の最後は、ハンマーでクサビをトントンとたたいて、まるでボタンを
押すように倒すのです。毎年、労災事故を起こし、死亡が多い林業ですが、
実はこんなノウハウが欧米にはあったわけです。

昨年わたしは、カナダの木材貿易に関わる方に、やや自慢げにこのテクを
しゃべったのですが、彼はそれはカナダ人が以前からやっている、と即言い、
ちょっとびっくりしました。「ひょっとして、井の中のカワズだったか!」
翻って日本は、こういうテクの紹介を森林組合なども紹介するどころか、
知らなかった形跡があります。とすれば、恐ろしいことです。

今、森林林業の再生に向けたプラニングが始まっていますが、林業が
実は1960年代の、まるでTPPのさきがけのような関税撤廃によって
落ち込んでいくのと同時に、実は、技術革新から大きく取り残されていた、
という感覚を持ちます。ひょっとして、現場は不勉強だったのではないか。

また、2、30年前、北欧の林業関係のカタログは、極めてファッショナブル
であり、トラクターに取り付けるアタッチメントも多彩でした。働きかたの
デザインともいえます。近年、なんとなくそれに気づき、ドイツやスウェーデンの
カタログをみながら、安全で効率のいいツールを少しずつそろえてきた
ところでした。

なんだか、取り残されてしまったような感覚を、少しずつカバーするような活動をこれからはしていこうと思います。来週は、チェンソーの講習会の3回目を開きます。

写真:直径数10センチも安全に倒すことができる
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最も納得のいった原発解説  社会

数ある情報の渦の中で、ようやくこんな、目からウロコの
解説に出会いました。もと、日立の原子力技術者だった大前研一氏。
マッキンゼーの、と冠を着けていた氏の専門カテゴリーとは違う、
ちょっと意外な言葉の明瞭さ。

1時間15分が長くありません。
今回の原発事故の全貌と、日本の取るべき将来像、そして
当面の施策が具体的に提案されています。
それも3月19日。なにより、ここにビジョンがあります。
民主党はかなりパクルかもと、予感しました。

http://www.hokkaido-sns.net/OpenPNE2/public_html/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=5479&comment_count=6

「地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
  (大前研一ライブ579)」
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3

絶望の中の希望  社会

大惨事になってしまいました。日本という風土の定めというにはあまりにも大きな
代償です。亡くなった方、行方不明の方々、そして避難生活を送られている26万人の
方々、奔走されている方々の活動状況を知るにつけ、頭がさがります。
朝の冥想の時間を心持、長くするようにしました。

原発事故も含む今回の惨事は、かつてなくメディア以外の情報が得られました。もはや既存メディアで真相は見えてこないのではないかとさえ、思われたのは、はじめての経験でした。これはチュニジアやエジプトの国民運動と共通したものなのでしょう。

情報とは別に、日本人の姿勢が海外から注目されています。なぜ日本ではこのような惨事でもパニックにならないか、なぜ外国のような略奪などが発生しないのか、なぜかくも落ち着いた動きができるのか…。

ニューヨークタイムスに村上龍が寄稿した文に世界が注目し涙しているとも聞きます。ホテルでのゆれを体験したあとにこう書いています。
(原文www.nytimes.com/2011/03/17/opinion/17Murakami.html)

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「…日本人は元来“集団”のルールを信頼し、逆境においては、速やかに協力体制を組織することに優れているといわれてきた。それがいま証明されている。勇猛果敢な復興および救助活動は休みなく続けられ、略奪も起きていない。
しかし集団の目の届かないところでは、我々は自己中心になる。まるで体制に反逆するかのように。そしてそれは実際に起こっている。米やパン、水といった必需品がスーパーの棚から消えた。ガソリンスタンドは枯渇状態だ。品薄状態へのパニックが一時的な買いだめを引き起こしている。集団への忠誠心は試練のときを迎えている。

現時点での最大の不安は福島の原発だ。情報は混乱し、相違している。スリーマイル島の事故より悪い状態だがチェルノブイリよりはましだという説もあれば、放射線ヨードを含んだ風が東京に飛んできているので屋内退避してヨウ素を含む海藻を食べれば放射能の吸収度が抑えられるという説もある。そして、アメリカの友人は西へ逃げろと忠告してきた。

東京を離れる人も多いが、残る人も多い。彼らは「仕事があるから」という。「友達もいるし、ペットもいる」、他にも「チェルノブイリのような壊滅的な状態になっても、福島は東京から170マイルも離れているから大丈夫だ」という人もいる。

私の両親は東京より西にある九州にいるが、私はそこに避難するつもりはない。家族や友人、被災した人々とここに残りたい。残って、彼らを勇気づけたい。彼らが私に勇気をくれているように。

今この時点で、私は新宿のホテルの一室で決心したスタンスを守るつもりでいる。私よりも専門知識の高いソースからの発表、特にインターネットで読んだ科学者や医者、技術者の情報を信じる。彼らの意見や分析はニュースではあまり取り上げられないが、情報は冷静かつ客観的で、正確であり、なによりも信じるに値する。

私が10年前に書いた小説には、中学生が国会でスピーチする場面がある。「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」と。

今は逆のことが起きている。避難所では食料、水、薬品不足が深刻化している。東京も物や電力が不足している。生活そのものが脅かされており、政府や電力会社は対応が遅れている。

だが、全てを失った日本が得たものは、希望だ。大地震と津波は、私たちの仲間と資源を根こそぎ奪っていった。だが、富に心を奪われていた我々のなかに希望の種を植え付けた。だから私は信じていく。」 

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10年前に読んだ「希望の国のエクソダス」を思い出しました。中学生のネット革命が
テーマでした。そして希望の国を「ノホロ」という場所に気づきます。一種のエコタウンと
コンパクトシティを合わせ、地域通貨などコミュニティ生活にプラスとなるさまざまなものを盛り込んだ理想の地。場所は野幌を想定しているようでした。希望の国の建設へ、そんな
気を持ち始めている方はきっと多いのではないでしょうか。

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外資による森林買収  北海道と自然

東京財団の外資系による森林買収の政策提言は、その後色々波紋を呼び、あまたの
メディアも追いかけて、いまや、言論統一の様相まで匂います。つまり、出所は
一緒の問題意識。こわいことです、出所は一緒とは。

わたしは、これを、農水省系のプロバガンダではないか、と思いつつ関心を寄せているものです。何のためのプロバガンダか。新たな大掛かりな仕事、つまり、林業の集約化、地籍確定など、この合意形成に向かっているのではないか。森林・林業再生プランの骨格です。

森林・林業再生プランの中身を見ていくと、それらしいテーマも見えますが、それよりもよくぞここまで放置してきたこと、生産とマーケットがつながっていなかったことなど、唖然としてしまいます。

森林行政を担っていたセクションはどうしていたのだ、という声が聞こえそうですが、ここは本当に「反省」をじっくり、揚句「覚悟」が要るでしょう。が、無理でしょうか。言いながら、この無力感。(^_^;)

まず、人材育成から、というのも「もと来た道」。根が深すぎて素人には手が負えそうもない。東京財団のレポートは今、3部作。 

http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=250
http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=179
http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=118
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ローカリズムと手仕事  林とこころ

殺伐とした事件が続きます。とても文明が行き届いて古(いにしえ)の不便が
なくなったのに、いわゆる荒廃、ほころびが一杯現れています。

昔、子供たちは、農家なら種まきやビニールハウスの番や、田植え、稲刈り、
わたしの実家は養蚕をやっていたので、桑摘み、お蚕への桑の葉やり、など
色々な仕事をやらされました。札幌の老先生に聞いたら、サラリーマンのうちでも、
秋、石炭を道路わきに積まれたのを石炭小屋までバケツで運ぶのは子供たちの仕事だった
とか。

いやだなあ、と多少思いながら家の手伝いをしたあの時間。手仕事という内省する
時間の始まりだったと思い起こします。

何年か前から、世間のどんな役に立つかは判然としないまま、山仕事というローカルな
手仕事に出会ってから、人間一人が、一馬力で進めていくささやかな仕事(手仕事)の
時間がもつ「滋養」というものに気づきました。それは、ちょっと大げさにいえば、
「人間力」を高めるような時間だとも言えそうです。そのからくりに、若いときは
なかなか気づけない。

思弁の力を磨き、とうとうと天下国家を論じるのとは全く逆の、黙々とした1馬力が、
他人から評価を受けたり、議論で勝ったりする喜びよりもしたたかに充実した手ごたえ
がある、ということ、そしてそのことによる安定。一見とても社会的とみえる言動の
実は虚飾をはがせば結構空しいことだということを知り始めたからかもしれません。
道の雪かきをしたり、道端の草を刈ったり、というなんでもない手仕事のもつナニカ。

うまくいえませんが、人間が考える葦だといい、アタマの地獄と不幸から開放
されるために、実は地域の片隅で静かな手仕事をする時間が必要なのではないか、
そのひとつは、「奉仕(的)活動」ではないか、と思いつきました。

一灯照隅万灯照国、土曜の昼下がりのひょんな思い付きでした。(^_^;)

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