浅田次郎「終わらざる夏」を読んで  社会

文庫本、上中下全三巻、約1000pを約2週間の通勤時間で読破。

かなり本格的な戦争文学で、綿密な事前下調べに、浅田独特の
ストーリー展開が加わり、特に中盤以降は朝も夜もとわず通勤時は泣かされっぱなしでした。

最終的には、第2次世界大戦の終戦前後、チシマ列島最北部の占守(しむしゅ)島での不可思議なソ連による攻撃(ポツダム宣言受諾後)で終わるのですが、あの、歴史的にも簡単に片付けれてしまう「不可侵条約を一方的に破棄して、、、、侵攻、、、」というあの下りがどのような意図の元にどのように展開し、電波妨害で玉音放送を聴けなかった日本軍がどんな疑問を抱きつつどのように状況を理解していったのか、を
恐らく推論もあるのでしょうが、小説という手法を援用して、実に
リアル(風)に描いてみせるのです。

攻めてくるとすればアメリカ軍だと思い込んだ日本軍は、前線である島に英語に堪能な通訳を送り込んで降伏を迎えるつもりだった(大本営)のですが、やってきたのはソ連だった。なぜだ、何があったのだ、とツンボ桟敷の中で推理していく息をのむ展開。

北方4島のことはわかったようでわからない。ましてやアイヌ問題も絡めるとなるとなお不明が多い。それを昨年、渡辺京二「黒船前夜」がやはり目から鱗がおちるような明快な筆致で描き感動しつつ読破しましたが、浅田のこれはそれを上回る、追体験と錯覚しそうな描写でした。

歴史はどう解釈するか、むずかしい問題ですが、底にある真理や流れは自力で真偽を問いながら読み込んで自分の理解を持つと言うことはとても大事だと改めて知らされます。遅ればせながら歴史の学びは、こういった語り部に触発されるのではないか、とも思います。

ところで、大前研一はある雑誌で、ロシア侵攻は、戦勝国の権利なのだというに近い論旨の展開をしています。これは日本の歴史理解と全く別な視点。参考にURLを載せますが、お詳しい方、どなたか解説願いませんか?。
http://president.jp/articles/-/10075


追:大前研一の指摘の核心は下記部分。以下、上記記事からコピー。

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・・・
北方領土の歴史認識に関しては、日本側に問題がある。日本の教育では、日本がポツダム宣言を受諾した後に旧ソ連軍が北方領土を不法占拠したように教えているが、史実は異なる。

ヤルタ会談やカイロ会談などの戦勝権益に関する話し合いで、当時のスターリンは対日参戦の見返りとして北海道の北半分を要求した。しかしアメリカのルーズベルト大統領はこれを認めずに、「南樺太を返還して千島列島の内南クリル(北方四島)をロシアが取る」代案を示した。最終的に決着したのはトルーマン大統領の時代で、旧ソ連は“正式な戦利品”として北方四島を含む千島列島を得たのだ。

明治以前の帰属は双方に言い分があって不明だが、明確な事実は日露戦争以降、日本が南樺太(南サハリン)と千島列島(クリル列島)を領有していたこと。そして第2次大戦の結果、戦勝国の旧ソ連は南樺太と千島列島を奪い取ったのではなく、“戦利品”として与えられたということだ。おかげで敗戦国の日本はドイツのような「国土の分断」を免れた。こうした視点が日本の歴史認識に欠けている。こういった話は、尖閣問題における中国の姿勢と通じるところがある。“日ソ不可侵条約に反して宣戦布告なく北方四島を占領した”と日本では信じられているが、樺太と異なり、旧ソ連軍の侵攻・占領は終戦後である。

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また、4島返還のきっかけとしてこう書いている。

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北方領土の四島一括返還論にしても、「北方四島は日本固有の領土であり、四島が揃って返ってこなければ日ロ平和条約は結ばない」と外務省が言い出したのも、1956年のダレス米国務長官と重光葵外務大臣のロンドンでの会談がきっかけだ。

当時、領土交渉が進展して日ソ関係がよくなることを警戒したダレスは、沖縄返還の条件として、旧ソ連に対して「(呑むはずのない)四島一括返還」を求めるように重光に迫った。

つまり、四島一括返還論は旧ソ連に対する“アメリカの嫌がらせ”から始まっているのだ。戦争終了後、10年間もの間、日本はそのような要求はしていなかった。外務省は長い間「北方四島返る日、平和の日」と書いた垂れ幕を、屋上から掲げていたが、アメリカの忠犬ポチとしての同省の性格がよく出ている。

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このカラクリめいたことは初めて目にしました。
放置すべきでない論点だと思いますが、では、日本で認知されてきた公式見解とはなんだったのか。大前氏の話はガセネタなのか。国の歴史認識にこんなに大きな差違はあるものなのか。

雑木林&庭づくり研究室
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言葉選びと感性鈍磨に思う  芸術

大分前から、機知にとんだ言葉はとんと出てこない。
おそらく外からの声も心に響いていないかもしれない。
感性がやせ細っているだろうからそれもまあ仕方がないと思い始めて久しくなった。
鈍感の世界に入り、逆に鈍感の幸せを感じることもままある。
感性にカスミがかかり、結果、感情の抑揚のないのもいい、なんて。

これは同世代に共通する感覚だろうか。そんなこんなの思案をしていると、自らのホームページでありながら語りかけるに値する言葉すら失ってしまいそうになる。
毎日、コンパクトにナニカを書くというのは楽しくもある反面、能力不足を痛感。


そうだ、時々の素直なつぶやきと割り切ろう。
かっこいいキレのある言葉探しは、「努力目標」ということにしておこう。

そこで、ここのところ、気になっている空海の言葉を記すことにします。

これは雑誌「致知」11月号に連載されている矢山利彦氏の「空海の言葉に学ぶ生き方のヒント」(連載15)で見つけたものです。

『生死はすなわち涅槃、煩悩はすなわち菩提』
(生き、そして死ぬことがそのまま安らぎであり、煩悩がとりもなおさずさとりである)・・。
矢山氏は上につづくリードで「空海のこの深遠な教えを童話という形で表現しているのが
宮沢賢治の『よだかの星』である」・・と興味深い解説をしています。(以下、略)


深い深い肯定ともとれる一節。一歩一歩、学び、道を探り、死ぬまで続ける、それで十分OK・・・という風にも取れます。

昨今、道徳資本の調べモノをしており、「山高きをもって貴しと・・・・」の実語教を
手にしますが、あの元は空海(弘法大師)が1000年前に作ったとされています。
また、コモンズの研究で話題になるスリランカのため池を日本で実践したのが弘法大師の
満濃池だというのは有名な話。

ここへ来て弘法大師と触れる機会がこんなに出てきたことは全く予想しないことでした。




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タグ: 言葉 弘法大師 感性

里山での気づき  林とこころ

「森羅万象のなかで人は生かされているが

自然、とりわけ動物と植物、つまり野生の生き物と身近に生きることを

人は避けてきた

その意味を齢60を超えてようやくすこしわかった気がする

好むと好まざるとに関わらず

積極的にときにネガティブに

それを都合よくまとめたのが都市だった

だもの、都市から離れられないワケダ」

********

ホームページの『雑木林だより』に最近の思いを綴ってみた(上)。常日頃、
実に軽薄な言葉をなまはんかな気分で書いていることを反省し、一語一語、
ちょっとだけ吟味してみると、言葉の意味発信力が随分変わるものだと驚く。

http://homepage3.nifty.com/hayashi-kokoro/aigo4-81.html

先日、あるSNSにはこんなこと(下)を書いた。このごろの小さな気づきを
胸に温めながら何日かをすごし、再び、フィールドに出てみると、
小さな気づきの縦横斜めにまた、ちいさなコブのような発見がくっつく。

********

「自然や里山などというイメージへの憧れと、実際の本音の嗜好との落差。つまりなくてはならないなどとはさほど思っていないのではないか?はたまた行政の施策にはほとんど魂は入ってこない。今に始まったことではありませんが、これはどう埋めたものでしょうか。もし、これが上手くいかなかったら何が問題なのか。正解はわかりませんが、わたしの直感は病気、とりわけ精神的な疾患あるいは不調です。

(ホームページの雑木林だよりで)ミドリちゃんと呼ぶ爬虫類と里山の小屋の関係シリーズを執拗に問いかけてきたのも、実はそんな理由でした。

で、昨日、帯広のあるナチュラリストの方から、facebookに「帯広の森にはまだ爬虫類が確認されていない」、というメッセージが来ました。なんと!!

もしそうだとすると、生物の生きる場としての歴史と、作られた緑地の潜在力の浅い差を思い知るような気がしています。人工的な自然は作れても爬虫類が棲む環境なんてそう簡単に創れない??これは痛快、そして面白い!

合理主義の勝ち誇った「北海道」のモデルである帯広、そしてそこの高名な人工の森、そこにはある種、おどろおどろしいものが存在できないのか?

なにか、とても意味の深い問題提起ではないでしょうか?


(写真は今年5匹目の抜け殻。昨日さらに2つ、ベランダの梁で発見)

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