2012/1/15

時代劇と職人と  京都

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さむいですね〜。新年も明けてはや鏡開き。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。


庭主、すっかり着膨れのぷくぷくで歩いております。え、中身もぷくぷく?こまっちゃうのよね〜。





さて。先日、NHKのクローズアップ現代で、「時代劇 危機一髪 〜伝承の技は守れるか〜」というのをやっていました。↓


http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3139&html=2





京都太秦(うずまさ)は、庭主が数年前の2年間を過ごした大好きな町。嵐電の帷子ノ辻(かたびらのつじ)で降りて、大映商店街を横切って路地へ入ると、その向こうは松竹の撮影所。


体育館のような建物の外側にはぐるりと棚が巡らされ、そこに江戸時代の物か様々な提灯やら火鉢やら看板、桶、その他よくわからない小道具がいっぱい積み上げられていました。


撮影所の高いコンクリ塀の脇をウチへと歩くと、塀の向こうに古いお堂やらハリボテの裏側やらが見える。夜には照明がこぼれてきたり、時おり意味の聞き取れないざわめきがしたり。


もしかして、話題のあの映画の撮影かしら?この向こうであの女優さんや俳優さんが演技してるのかしら〜! な〜んて、伸び上がってみるけど、とーぜん塀の向こうは見えない。


でも、ぞーえんやさんでいろいろ教えてくださった庭師のおじさまが、昔撮影所で小道具をやってたそうで、お昼休みにはいろんな話を聞かせてくださるのがいつも楽しみでした。


おじさまはそのお父さんの頃からの映画の職人さんだったそうで、昔の映画の隆盛期をよくご存知なだけに時代劇が減ってしまったのを大変残念に思っていらっしゃったようです。


結構なお年なのに!身の軽いこと軽いこと。梯子を竹馬のように操り、屋根でも何でもたちまち修理し。お客様からの信頼も厚く、手が遅くてオヤカタにすぐ怒られる私に、いつもにこっとほほえんで、「ほら、こうしいや。」と、掃除のコツやらきれいな剪定の仕上げ方やら、そつなく丁寧に技を教えてくださいました。





「わしらは図面いらんねん。場所見たら頭の中にぱぱっとできてまう。撮影の時は30分でちゃちゃっと庭こしらえんとあかんさかいな。」


「姿勢は大事や。背中曲げとったらみっともないでえ。枝を束ねる時はこう力を入れるんや。」


「松ヤニ付くでな、先に手にワセリン塗っとき。」


な〜どと教えてくださるかと思えば、事務所の打ち上げでバーテンダーのように実に優雅な手つきで上手に焼きそばを焼いてくださったりする。





ダンディで、ウィットもあって、腕もあって、でも出しゃばることなく、どこか目がキラキラしていて。映画人の矜持っていうのでしょうか。昔太秦を歩いていたのはこんな人たちだったのかな〜、と、ちょっとうらやましいような気がしたものでした。





先日の番組を見ていて、京都で教わった沢山の事柄や、おじさまをはじめ出会った沢山の人々のことを思い出しました。


映画づくりの中に残されている、作法、手法、美意識。


舞台装置はもちろん、細工やら、エイジングやら、演出の仕方、本物に見せるための厳しいこだわり。庭師の仕事ともずいぶん通じる物があります。というより、映画は昔の暮らしのすべてを含んでいるんですものね。


たくさんの技。たくさんの心意気。


日本のアイデンティティの根底にあったものが消えていってしまうのは、実に寂しいものです。


技術の再発見、というか、もはや身近に触れることのできないそれらの技術がどんなに素敵で、どんなに魅力にあふれているか、ということを、もうそれらを知らない私たちの世代が知る機会がもっといっぱい増えれば、と思います。


夢中で工夫して、夢中で作り上げてゆく、その楽しさ。ものづくりには、楽しさがあふれている。


お客さんがお金を払って業者が提供して終わり、ではなく、あらゆる人に、つくることも楽しんでほしい。当然シロウトが手を出せないところはありますが、だからといって全部秘密のベールに包んでしまっては、職人の苦労の跡すら知る由もない。気がつけば、その本当の価値に気づかれないまま忘れ去られてしまう。


海外を旅行して、楽しい、と思うのは、やはりその国の古い文化に触れたとき。それが連綿と残ってきたことに感動し、その国の独自のキャラクターを形作ってきたものに心ひかれるのです。


お金がない、と言うけれど。もしかしたら、宝の山かもしれないんですよ〜。





…と言うだけはいえる。さて、ど〜しよっか、ねえ。さあ、よ〜く考えてみよ〜!!!





☆今日のちび庭気温:1〜4℃ さむいですね〜。やっぱり氷点下になりそうな日は家の中でも冷えますね〜。ネットで見かけた「フィンランド式切り株ストーブ」というのをいたく気に入ってしまった庭主でした。http://karapaia.livedoor.biz/archives/52060546.html (^^;)
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2009/12/16

坪庭にはまってみる。2  京都

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え〜、じつは、先日消してしまったブログの本題はこちら。読書録。


なんか、読書録を書こうとするとネットがトラブルのよね〜。なんなの?





ま、いってみましょう。


「ベストライフ 坪庭のすすめ 小さな庭のプラン常識集」監修 小埜雅章 写真 水野克比古 講談社 1994年 p.231


例によって、図書館で借りました〜。


なかなか、すばらしく「かゆいところに手が届く」内容です。なんとな〜く理解していたことが、こうすっぱりと文字になると、改めてなっとく。あ〜、そうそう、と、京都のぞーえんやさん時代を思い出し。


こうしてこの本を読んでみると、あの短い期間で(しかも学校を出たばかりで女性だったとゆーのに)、親方はずいぶんと庭についてのいろんなことを教えてくださったのだなあ、と、しみじみ。いろんな場面が懐かしく思い出されました。


他にも、料亭などではしょっちゅう水で露地を清めるので植栽は湿度に耐えるものを、とか、あるいは池の輪郭は図面上では1本の線だが実際に施工となるとその幅は20pは必要、などなど、実際手がけないと分からないようなことも書いてあり、また日常の作業についても「どうしてそうするのか」という理由も述べてあるのがとてもよく、うなづきながら読んでしまいました。


コンパクトながら、設計施工や管理のポイントが非常によくまとまった本だと思いました。和庭ファンのみなさま、きっと楽しく読めますよ!





上の写真は、京都のとある豪邸の「お風呂からの景」として作った坪庭。まだ作業中で苔を張る前ですね。もちろん作ったのは親方で、わたしは「手元」ですが。これも思い出深いところ。


依頼主のご隠居(敬意を込めて、密かにじーさまとお呼びしておりました…)は、この別荘をご子息方に遺すべく、入院しててもおかしくない体調にも関わらず、せっせとお庭も建物もお手入れされていたのでした。


寒い朝に出かけると、白木の門をせっせと歯ブラシで磨いておられる。「車いじり」で一代を築いてこられただけあって、引退しても何かしら手を動かしていないと気がすまないお方。


大変通な方で、好みもとてもうるさい。親方を呼びつけては「この柱では気にくわん。もっと渋いのがええ。もっぺん違うの持ってこい。」などとすぐにお怒りになられるかと思えば、「女の庭師さんちゅうのもええもんや。鳥の声を聞いてるみたいでのう」とにこにこといつまでも作業を見ておられる。


とにかく、人が作業するのを見てるのがお好きだったのは、腕一本で会社を築き上げてこられた証なんでしょうね〜。ヘビースモーカーで煙の固まりが歩いてるようでもありましたが。


ひと通りの作業が一段落した頃、「つぎはあっちの通路やってなあ」と、次の作業まで、他の場所が忙しくご無沙汰していた半年後。おなくなりになったとか。


きっと、首長うして待ってはったやろなあ、と、親方がつぶやいたのでした。


前庭のしだれ桜にヤツデにツワブキ、薄いピンクの木瓜に、松の本庭、台杉と苔の青々とした築山の裏庭、紅梅白梅のある中庭。大事なドウダンツツジをいためないように四苦八苦して施工した竹垣。なんともぜいたくな、幸せなあのお庭達。いつまでも空から愛でてくださってるといいなあ。


☆今日のちび庭気温:6〜13℃ さぶいっ。なんだか、電車の中でわたしひとりダウンコートにニット帽ですっかり冬使用でした。だって冷え性なんだもん。ねえ、寒かったよねえ?(^^;)
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2009/12/15

坪庭にはまってみる。  京都

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さて、気を取り直しまして。ところで、上の写真は。


私がぞーえんやさんにおりました頃、月1回お手入れに入らせていただいていた、京都は高台寺の料亭のお庭です。本を読んでるうちについつい懐かしく、写真を見返してしまいました。


親方が10年ほど前に改修したそうな。本当に、小さな小さなお庭なんですが、四季の移り変わりがとっても楽しみでした。上の筧と柄杓は親方と私で作りました。毎年、お正月に新しいものに取り替えるのですね。柄杓と柄杓置きは沢山作って、年末にお得意様に配るのです。


では、そのお手入れの様子をご紹介。


時間はたいていお昼を過ぎた頃。まず料亭に到着しますと、一番に仲居さんにお客様が退出されたのを確認、道具を運び入れます。まだお席にいらっしゃるときは、作業姿を見せないように通路に隠れてお出になるまで待ちます。手首には手甲(リストバンド)、足には地下足袋、腰にはもちろん鋏を装着!これで、りっぱな「お庭番」。


次のご予約のお客さんまでは、大体2時間ほど。その間に作業を終えなくてはなりません。


で、1番はじめは、屋根の上!掃除は高いところから、ってね。


土壁に傷を付けないように、梯子に当て布をして屋根へ上ります。案外足場の塀が細いんだ…ん〜、忍者みたい。


一番大きなしだれ桜の古葉を、竹の棒でふるい落とし。同時に病害虫チェックも行います。場合によっては薬も散布。


そして、屋根の隅々と、樋の中の枯れ葉までお掃除。くれぐれも踏み外さないように、瓦をずらしたり割ったりしないように…。この時肝心なのは、隣家には一枚たりとも葉っぱを落としてはいけないということ!下を通る仲居さん達にも埃がかかってしまわないように。風向きを見つつ、細心の注意を払います。


屋根の上が終わったら、はしごを降りながら、カクレミノの葉っぱもお掃除。下の砂利と、お手洗いに通じる裏露地を掃き清め、水を打ちます。


つぎに、中庭の紅葉や梅、サツキやヒュウガミズキなどの低木の古葉も落とし、こちらも病害虫チェック。渡り廊下の埃も払います。ツワブキや下草の剪定も一緒に。


ヒバの剪定など、ゴミの量が多いときは、あらかじめ寒冷紗を敷いておいて剪定くずを集めます。寒冷紗だと、下草の位置が分かって、しかもシートより柔らかいので下草をいためにくいのです。


一番大変なのが、落ち葉の掃き集め。ふわふわの苔をいためないように、そおっと静かに「雪の上を渡るように」歩き、笹を束ねて作った手帚の先で枯れ葉1枚1枚を拾い上げるように掻き出します。同時に雑草も抜きます。砂利の上も同様。もし足跡がついてしまったら、後ずさりして苔を起こして跡を消します。ブロワーも使いますが、狭いのでかなりコツがいります。


苔は、本当に大切。大事に大事に育てます。ですから、飛び石以外の景石には、基本的に乗ってはいけません。苔がはがれてしまうから。帚の力が強すぎてはがすのは論外。雑草と一緒に取れてしまった苔は、そっと戻して押さえておきましょう。


最後に、手水鉢の水を掻きだして、ブラシできれいに掃除します。このときも、磨くのは手水鉢の水がたまる内側だけ。それ以外は、苔が育っているのを剥がさないように、極力ゴミを払う程度にします。


手水鉢に新しい水を入れて、飛び石や露地を清めたら、できあがり!


途中、「どうぞ休んどくれやす」と、親切な仲居さんがわざわざお茶を入れてくださるのがすごくうれしい。かわいい湯のみでいただきながら、花付きの具合や木の健康についてお話しします。「紅葉が好評で」「桜が遅かった」「あちらの木の元気がない」など、毎日お庭を見てる方の話は重要です。「虫が出たら呼んでくださいね」とお願いして、道具や剪定くずを仕舞って退出。おつかれさま!


一度だけ、お座敷で友人達とお食事をいただいたことがあります。すっかりセレブ気分で、本当に、とろけそうなお料理でした…。お値段もそれなりですが、親方いわく、他の店なら同じ内容で3倍は取るだろう、と。まさに、口福に目福。また、はっとさせる演出が素晴らしい。


仲居さん達のおもてなしも細やかで、もったいないくらいの大満足でした。大切なお客様に、家族の記念日に、みなさま、京都にお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ〜(要予約ですが)。いちげんさんおことわりの印の「内のれん」ですが、大丈夫。電話予約OKです。きっとあなたのとっておきのお店になりますよっ。小さいけど、ぜひ、お庭も見てくださいね〜。





http://www.kanzin.co.jp/


☆今日のちび庭気温:7〜10℃ 貴重な晴れ間でしたね。そろそろお正月の準備。のーえんではしめ縄飾りも作りましたよ。さあ、大掃除もしなくっちゃ!!!(^_^)
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2007/11/4

その都市は、主人(あるじ)を待っている。  京都

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う〜ん、まるで、渋谷の銅像のようね…。いえいえ、畏くもご主人様はご健在なのでございますが。

昨日のNHKの美の壷、京都特集、やってましたね〜。そうそう、これこれ。うう、懐かしい。鮮やかな嵯峨野の紅葉が恋しくなるこの季節。ええ、わすれないうちに、そろそろ2年間過ごしたキョート生活の見聞録を記しておこうかと思いまして。そうそう。わすれないうちに、ね。もう、ちょっと頭の中で風化してしまったかも知れないけれど。

ずいぶん引っ越しもしましたが。思い返せば、やはりあれほど強烈な個性を持った街もなかったな、と。

さて。なにより、強烈に私の記憶に残った一コマ。
「ですから!東京は首都やないんですよっ!!!事実、遷都なんてしてないんですから!!天皇さんは、お出かけになってはるだけなんですっ!またこっちに戻ってきやはるんです!!キョートこそがニホンの首都なんですっ!!!」

あまりの大声に、思わず振り向いてしまった私。もうすぐ京都駅に入ろうとしている新幹線の車内。斜後ろのボックス席で、いい大人が、しかも、さらりとスーツを着こなした、いかにもエリートといった風貌の方が、立ち上がらんばかりに、顔を真っ赤にして熱弁している。しかも、さほどご年輩でもない。同様な格好の連れの3人も身を乗り出すようにして、議論に応じる。ビジネスマンか、大学の先生達なのか?

え?今のマジ論議?? え、えモ〜〜〜っ? ! いま、西暦何年よ???
キョートに着いてこれが最初のカルチャーショック。庭主には、この尋常ならざる真剣さに、ひたすら驚いてしまったのでした。思えば、これが「キョート ワンダーランド」のはじまりだったような気がします…。

そして、まだこの頃は上の台詞を「あらあら。」と聞いていた庭主も、おいおいその「想い」を街のあちこちで肌で感じることになるのでございました…。キョートの街は、恋しくて、恋しくて、「てんのうさん」のお帰りを待っている。ずうっと、ずうっと昔から、お仕えし、全てをその御代に捧げ、憧れ奉ってきた。しかも、1人ではなく歴代の、何人も何人もの「主人」に。そうして自らを「雅び」な世界に磨きあげた。そんな、なんとも健気な街、なのですねえ。こんな街が、他にあるでしょうか。題して、「キョートの純情」。ほんと、キョートの全てのカギはここにある、といっても過言ではないのかもしれません…。

☆今日のちび庭気温:16℃ シロバナホトトギスの種を採りました。ふやせるかな〜?(^_^)
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2007/8/27

竹は美しいのねえ。  京都

う〜ん、素晴らしい!!!「NHKスペシャル 里山紀行 中国雲南省 竹とともに生きる」、ごらんになりましたか???

いや〜、実に素晴らしい。竹というのは、美しいものですね。それもさる事ながら、村の人々の竹を扱う技の素晴らしさ!!!橋を作ったり、カゴを作ったり、建材やら、食器やら、田んぼを均す道具やらに使うのですが。

その手さばきの素晴らしいこと!鉈の切れ味も鋭く、実に的確に打込む。うお〜っ!すっごい!同じ切れ目にぴったり2度目の鉈を打込んでいる!!!ひええ〜っ!んでもって、途中にスリットのように割れ目を入れて、ねじって見事に橋の柱を固定。さすが、竹の民。私も、キョートのオヤカタのもとで何かにつけ竹を割らせていただきましたが。こうは、いかないよお〜。

切って、割って、削って、曲げて…1つ1つが、造園の竹の技を思い出させてくれます。でも、こっち来ちゃったら、竹垣を作ろうにも、手水鉢に添えるちょっとした柄杓を作ろうにも、竹屋さんもないのよね〜。細工できるような青竹が、そう簡単には手に入らない。ホームセンターの乾き切った竹じゃ使えないし。

柱にもなり、ひごにもなり。編めば平面も作れちゃう。鋸で簡単にきれる。もちろん、筍も味わえる。あんなになんでも使える材料って、ないのね。

竹の文化を、京都だけに留めておくのはもったいないですね。もっと日常に使いたいものです。
狭いところでははびこって憎まれてしまいがちな竹だけど。(―そう。日本の竹は、地下茎ではびこってしまうのよね。中国の竹みたいに株立ちだと、もうちょっとなんとかなるのかもしれないけれど…でも、そうすると日本的な風情がなくなっちゃうね〜。)

美しい竹林の風景が増えるといいのになあ。地面はすっかり竹のふわふわの落葉で覆われ、「傘が通る程度」に間引きされた、手入れの行き届いた美しい竹林。そんな場所があると、嬉しいですよね〜!(その手入れが問題なんだな。いろいろ、なにかと一筋縄では行かないものね〜。)

☆今日のちび庭気温:夜温28℃ おお〜、涼しく感じますね〜。これでほんとに猛暑日は終わるのかな???それにしても、いいかげんカメラを何とかしなくては…(^_^)
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