「お先に。」
茶道では、抹茶を頂く際、まだ飲んでいないお隣さんに対し、
お茶碗をお隣との間に置いて、「お先に。」と挨拶をしてから頂きます。
老人ホームでの呈茶では、
「お茶碗を左手の手の掌(たなごころ)に置いて、右手で横から支えて
飲んでください。」
と飲み方をご紹介しています。
次のステップとして、
「お茶碗の正面に口をつけるのを遠慮します。
正面をよけるために、2回 茶碗を回しましょう。」
とお話しをします。
もちろん、茶碗を回さず、茶碗の正面から飲む流派もありますから、
飲み方は我流で結構ですと付け加えますが。
ところが、お茶の心得のある方は、
「お先に。」とお隣の方に会釈をしてから頂いています。
もちろん、そこまで余裕のない方がほとんどですが、
時間をかけて、皆さん、そのようにお茶が飲める会にしようかな
と最近企んであります。
さて、先日 某ホテルで人を待っていると、
女性トイレの前に数名の着物の女性の方が並んでおりました。
なにか茶道関係の会合か結婚式でもあったのかなぁ
と見ていると、
若い女性の方たちもその後ろに並びました。
ああ、結婚しきかなぁ と勝手に推測していると
前の着物の女性が
「お先に。」と次の着物の方に会釈をしてトイレに入ってゆきます。
「なるほど、これはお茶関係の方だな」
トイレから出てきた着物の女性が並んでいる方たちに「お先に。」と会釈。
すると、次の着物の女性が「お先に。」と次の女性に会釈してトイレに入ります。
次の女性は、普通の洋服を着た若い女性。
どうするかな?と見ていると、
着物の女性がトイレからでてきて、その女性に「お先に。」
すると、その洋服の女性が次に並んでいる見知らぬ(たぶん)女性に
「お先に。」
その見知らぬ女性も次の女性に「お先に。」
「お先に。」
「お先に。」
「お先に。」
私が見ている間、みんな、「お先に。」と会釈をしてトイレにはいり、トイレからでて会釈をしていました。
ちょっと、微笑ましいというか、クスってしまいました。
さて、今日 ご紹介する茶碗は私の最高傑作のうちの1つかもしれません。
もちろん、穴釜で薪をつかい五日間焼いてできた作品です。
銘「おさきに」
いいの!? こんな銘で
明日は中秋の名月です。
今夜はまん丸にちょっと欠けた月を見ながら、
この茶碗で抹茶一服・・・・・・・「お先に。」 ( ^-^)_凹~~

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