ちょっと、ここらで軽いお話を。
前にも書いたと思いますが、
茶銘の「昔」や「白」には次のよう話があります。
「好の白」「初昔」「後昔」など、風趣あふれる抹茶の茶銘。
その始まりは、茶師が摘み取られた新芽を茶園ごとに区別するために、
茶壷や茶袋に付した目印であったといわれています。
「一の○」「いの○」など数字が付された茶銘が多いのは、その名残なのだとか。
「白」「昔」という文字が付く茶銘は、つぎの話に由来します。
茶は製する時に白く粉が吹いたようにあがります。
そこで、祝いの白、一の白、二の白などの銘がつけられていました。
ある茶師が正月にお伊勢参りをしたとき、
茶店で季節外れに青々とした蓬餅を見つけました。
店の老婆によると、「芽立ちの頃に摘んだ蓬を貯えているので、冬になっても色のよい餅がつくれるのじゃ」という。
早速、その製法を茶づくりに応用したところ、
青々とした抹茶ができあがり、物珍しさもあって大流行したそうです。
しかし風味は従来の白製抹茶に劣り、将軍家の御茶吟味役であった小堀遠江守も白製抹茶を極上とされました。
そこで、新製法の青製茶と区別するために、
むかし製法の茶には昔製・白製という意味で「昔」「白」という文字が付されるようになったのだそうです。
ちなみに、「昔」にはこんな話もあります。
旧暦の三月二十一日に茶を摘み始めるので、廿一日の字を詰めて”昔”としたとか。
(廿は十が二つで20です。)
二月のお抹茶やは、「常静の白」でいってみますかね。
黒い茶碗を八つ作りましたので、このお茶碗で点てたいとおもいます。
黒い茶碗に抹茶の”白けた緑”はよく合うことでしょう。


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