東京の洋館めぐりツアー、ランチは不忍池近くの水月荘にて。ここには森鴎外が新婚時代をすごした家が残っています。奥様の赤松登志子さんの持家でした。父上は海軍中将の赤松則良(男爵)で勝海舟とともに咸臨丸でアメリカにも行っています。大正元年の陸軍大演習のさいに川越の料亭「川島」さんに宿泊しました。
この家で新婚生活をおくりながら、ドイツでの恋物語「舞姫」を書いたという鴎外。結婚の半年前にはドイツ滞在時の恋人エリーゼが鴎外を追って日本まで来ています。鴎外の弟や陸軍関係者の説得で彼女はドイツへもどりましたが、作家の森まゆみさんは「船で40日もかけて来日した彼女が、一月もたたぬうちに帰国したとは解せない」と書いています。明治のニッポン男児、鴎外さん、意外とモテたのですね。陸軍医として川越にも来ています。
二年後、鴎外は一人でこの家を出ていきました。
文京区音羽にある、鳩山会館。大正13年築。ここで川越で活躍するソプラノ歌手・伊藤ちえさんのコンサートがあるのです。やっとたどり着くことができました。
設計は鳩山一郎さんの同級生でもある岡田信一郎、歌舞伎座も手がけています。
庭にはバラが咲き乱れていました。
階段にあるステンドグラス、この洋館にはいくつものステンドグラスがありますが、みな小川三知のもの。川越ゆかりの日本画家、橋本雅邦に美術学校で師事し、のちにアメリカに渡り、苦学をしてステンドグラスを学んだ人物です。川越の旧山崎別邸にも彼のステンドグラスが輝いています。

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