毎年養蚕見学会でお世話になっている秩父の農家さんのお蚕さんを見学。
今回は多摩美大の名誉教授・テキスタイルデザイナーのわたなべひろこさんをご案内しました。

秩父のシンボル、武甲山。石灰採掘の様子がよくわかる山肌です。痛々しいけれど秩父の経済を支えてきた豊かなる山。

道をへだてて両側に養蚕の建物がならぶKさんのお宅。養蚕を続けて3代目。それ以前は川越からお米を取り次ぐ米問屋をしていたそうです。

上族まぎわのお蚕さんたち、あと1,2日で繭を作りだす状態です。17軒になってしまった秩父の養蚕農家のなかで、Kさんは卵から育てている唯一の農家です。
平均年齢74歳の養蚕農家の中で50代のKさんは若手で飼育量も秩父で一番。年間5回の養蚕とシイタケ作り、自家用の稲作が主な仕事です。

二階には繭をつくるお蚕さん用のまぶしの枠が並べてあります。秩父農林振興センターのSさんと農家のkさん(中央)、わたなべ先生(左)。
世界のシルク事情に精通されているわたなべ先生は、日本の養蚕が絶滅寸前ということを知り、世界的に天然素材への注目が高まっていること、そして繭の地産の大切さをを訴える活動をはじめられています。
有名な秩父祭りは「お蚕まつり」ともいわれ、華麗な屋台のひきまわしの翌朝に秩父の養蚕農家は繭を秩父神社に奉納します。神事の一環で執り行われているものです。
国の補助金などの政策にふりまわされずに秩父の文化として養蚕を残したいと願う養蚕農家。自分たちの氏神さまの秩父神社に毎年繭を奉納し、宮司さまと一緒にその豊作を感謝するというのが農家の暮らしの精神を支えているのです。

5,6月でも20度を下回る日にはストーブをたくのです。いい繭を作るには細やかな世話が欠かせません。

わたなべ先生、農家のKさんと。Kさんの跡取りの息子さんは、皇居紅葉山の美智子さまのご養蚕所にて養蚕をお手伝いされているとのこと。うれしい限りです。
秩父は蕎麦好きにはたまらない、美味しいお蕎麦の名店がたくさんあるところ。
ランチは山に囲まれた秩父らしいところでおすすめの橋立鍾乳洞。
以前の養蚕ツアーでもお世話になった「はにつ園」にて。池袋から特急で1時間10分でこんな山郷にいけるのが秩父の魅力です。観光養蚕ツアーとしての魅力もアピールしたいと、毎回素敵な場所、美味しいお店を組み入れています。

以前、卵から飼育しましたが、今回は繭になる直前、5齢のお蚕さんをお土産に持ち帰り。飼育日記またつけてみます。

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