どんなに強い横綱といえども、優勝回数が20回を超えると心身共に寿命が来るようだ。2年前に63連勝を果たし、先場所の22回目の優勝で貴乃花並んだ白鵬もその例外ではない。貴乃花は20回目の優勝を果たした後はケガに泣かされ、約2年ほど賜杯から遠ざかっていたが、その間、東の正横綱でありながら8-7で辛くも勝ち越したり、休場を挟んで負け越してしまうような成績も残している。朝青龍は7場所連続優勝を含む25回の優勝を果たしているが、やはり20回を過ぎた頃から強さに陰りが見え始め、そこに出場停止の急ブレーキがかかって急速に力が落ちて行ってしまった。実年齢とは関係なく、ロウソクが燃え尽きるように、優勝20回あたりでどんな強い力士にも引退の文字がちらつき始めるようだ。
白鵬は、八百長や震災などの土俵外の心労も手伝って、ピーク時には考えられないようなもろい負け方で全勝優勝からは縁遠くなっている。しかし、それでも常に第一人者として優勝戦線のトップを走り続けて来た。先場所は苦労して鶴竜から逆転優勝をもぎ取り「もうこんなヒヤヒヤした展開は味わいたくない」と言っていた舌の根も乾かぬうちに、今場所は中日で3敗目。優勝戦線から脱落したと言っていいだろう。
昨日に続き、今日は境川部屋の豪栄道と対戦。対戦成績は14-0で得意としているはずが、立ち合いから相手のまわしを取ることもできず、突っ張りにも足が出ずにちぐはぐな攻めをしたものの。あっさりと土俵際で豪栄道にかわされてもろ差しを許してしまった。あとは腹を突き出す形でなすすべなく寄り切られて完敗。「ついていけなかった」と支度部屋では反省の弁もあったが、どこか故障をしているのなら潔く休場した方が本人としても納得が行くのではないだろうか。白鵬の落日を受けて、大関6人も色めき立つ。
琴奨菊は豊響に一気に押されて泡を食ったが、逆転の小手投げで土俵際で白星を拾った。大関の対戦は鶴竜が把瑠都を寄り切りで下して1敗を守る。稀勢の里、琴奨菊、鶴竜、栃煌山、マツコの愛称で人気のある宝富士が1敗で中日を終える展開。相撲ファンとしては、賜杯の行方が全く分からない後半戦が楽しみになった。

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