外耳炎のため何度か来院してもらっているシェルティーと
飼い主さんがいます。
その方はちゃんと私の勤務日に合わせて来てくれます。
「来週あたり1度耳をみせに来てくださいね」
とお話すると、
「先生何曜日にいらっしゃるんでしたっけ」
ときちんと聞いてくれます。
嬉しいですよね〜信頼して下さっているのだと
力がわいてきます。
そんなシェルティーでしたが、ある日
『お尻が腫れている』とのことで来院されました。
触ると確かに左の臀部が腫れている。
エコーで確認してみると液体がたまっていることが
分かりました。
とりあえず抗生物質を処方して様子をみてみたのですが
改善の兆しはなし。
思い切ってバイオプシー(針生検)をして細胞を
調べてみることにしました。
病理センターに依頼する予定だったのですが
とりあえず自分の目でも確認しようと顕微鏡を
のぞいてみました。
すると・・あまりいい印象を感じない細胞が多数存在。
その印象をとりあえず飼い主さんにお伝えして
病理結果を待つことにしました。
そして出た診断結果は『悪性腫瘍』…ガーン…

「血管周皮腫」疑いという診断結果でした。
調べてみると、この腫瘍は悪性といってもそんなに
悪性度の高い腫瘍ではないようでした。
けど、中途半端に手術をして切除すると再発しやすい
らしく、しかも再発を繰り替えすたびに悪性度が増すという
厄介なものでした。
院長はOPEしたくない様子。
今の職場では避妊・去勢手術ですらやらせてもらえない
環境なので、もちろん自分が執刀することなんて無理。
飼い主さんに分かりやすくお伝えしなければ…と
色んな情報をかき集めて説明をしました。
きちんと納得して下さった飼い主さんに一安心。
私自身レディを癌で亡くしているので、悪性腫瘍と
診断がついた時のショックは十分理解しているつもりです。
だから、淡々と伝えるのではなく、きちんと
話をするつもりだったのですが…
説明を終えてから気付いたこと。
それは自分の考えだけを押し付けてしまっていたと
いうことでした。
手術するには十分な範囲で組織をとらなければ
ならないのだけど、臀部ではそれが難しいということ。
そして放射線治療がいいらしいんだけど、当院には
ないということ。
けど、転移は比較的少ないようなので、このまま様子を
見ましょうとお伝えしたのですが、飼い主さんの気持ちを
聞くことをすっかり忘れていました。
飼い主さん自身どうしたいのか。
ことらが一方的な言い方をすれば大体従ってしまうのでは
ないだろうかと常日頃感じていました。
ちゃんと○○と△△という方法がありますが、どうなさいますか
などと言うべきだと思っていたのに!
今度また来院してもらう予定なので、その時きちんと
謝って言い忘れたことをお伝えしようと思いました。
ホント反省〜…デス。

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